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越境ECブログ

2025年6月28日から発効するEUの法律を知っておきましょう

こんにちは。ジェイグラブの横川です。

EU向けに越境ECを行うにあたっては、GDPRという個人情報の保護に遵守したサイトにすること、自社サイトではしきい値を超えた場合、Amazonでは必須で納税者番号を取得すること、ドイツではリサイクルに関する法律を遵守することなど、貿易や流通のルール以外に確認しておくことがあります。

来年6月下旬からは、2019年に採択されたアクセシビリティ法案が発効します。この法律もEU圏に顧客を持つ場合は、圏外すべての企業に影響します。詳細は下記をご確認ください。

こうした法律に合わせることに嫌気して、EUへの販売を敬遠するということも選択肢としてはありますが、こうした流れは、他の地域へも波及していく傾向がありますので、こうしたことから逃げていると、いずれはすべての地域で活動できなくなることもありえます。また、EUは社会体制が日本と似ているのでやりやすく、先進国も多く、実際ECでは無視することのできない大きな市場でもあります。
インターネットなども黎明期に始めずに逃げ回った結果、社会の進歩に追いつけず、ITリテラシーが低いと言われてしまう人が増えたように、ここで逃げていると、最後に泣くのは逃げた人になります。


EUアクセシビリティ法が世界中の事業者に影響を与える

ヨーロッパ・アクセシビリティ法(EAA)は、欧州委員会の指令であり、2019年に加盟国によって法律として採択されました。この法律の目的は、障害を持つEU居住者が製品やサービスにアクセスしやすくすることです。施行は2025年6月28日から始まります。

EAAは、携帯電話、電子書籍、交通機関の提供者など多くの製品やサービスに適用されます。特にeコマースサイトが明確に含まれています。

EUの一般データ保護規則(GDPR)と同様に、EAAは欧州に顧客を持つ企業に対して遵守を求めています。その所在地や登録地に関わらず、EUの顧客を持つすべてのeコマース企業はEAAに従わなければなりません。唯一の例外は、「マイクロ企業」(従業員が10人未満で、収益が200万ユーロ(約210万ドル)未満の企業)です。

施行

各EU加盟国は、遵守しない場合の施行メカニズムと罰則を定めています。消費者は各国の監視機関に苦情を申し立てることができ、監視機関は企業に通知して調査を開始します。監視機関は苦情がなくても調査と施行を行うことができます。

遵守しない場合の罰則は様々ですが、60,000ユーロ以上の罰金や、アイルランドでは18ヶ月の懲役刑を含むこともあります。これは、遵守を拒否したり、報告に不正があった場合に適用されます。

遵守方法

国ごとに具体的な法律の要件は異なりますが、最低限、Webサイトコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン(WCAG)2.1 AAが求める実装が必要です。

まずは一般的な違反を解決することから始めましょう。以下の点を確認してください:

  • サイトがフォントと背景の間の最小限のWCAG色コントラストガイドラインを満たしていること。
  • 画像(スペーサーや装飾アイテムを除く)には、スクリーンリーダーを使用するユーザー向けに説明的な代替テキストが含まれていること。
  • 見出しが単なるスタイリングのためではなく、コンテンツ構造を示すように正しく構成(ネスト)されていること。

アクセシビリティの専門家や、Webアクセシビリティ評価ツール(Web Accessibility Evaluation Tool)のような自動テストプラットフォームが役立ちます。ただし、筆者の経験では、自動チェックツールはアクセシビリティの問題の30%しか検出できません。たとえば、キーボードナビゲーションのチェックには自動ではなく手動のテストが必要です。

さらに、欧州委員会は、オーバーレイやウィジェットを含む自動ツールがWCAG 2.1 AA基準の全体をカバーしたり、完全なEAA準拠を保証するための手動作業の代替となることはできないと述べています。

遅れを避ける

アクセシビリティの遵守は一度きりの作業ではありません。ウェブサイトのレイアウト、ナビゲーション、カテゴリ、または製品の変更は、アクセシビリティに影響を与える可能性があります。したがって、定期的なチェックや監査を通じて、時間をかけてコンプライアンスを維持する方法を検討してください。

ウェブサイトによっては、アクセシビリティの問題を修正するのに1年以上かかることもあります。もしEUの顧客がいる場合、遅れずに対応を開始しましょう。施行は2025年6月28日から始まることを忘れないでください。

参照:E.U. Accessibility Act Impacts Global Merchants


まとめ

画像のくだりのところなどは、HTMLでalt=””を空白にしないことを主張しているものと思われます(つい、抜かしちゃうんですよね^^;)。ここのaltに画像のタイトルや説明を入れておくと、目の不自由な方が閲覧した際、どういう画像が埋め込まれているかを音声で読み上げることができるようになっています。この法律はそういう部分もしっかり対策することを求めています。このあたりについてはWEBデザインの知識のある方が活躍する分野だと思います。

実際の発効までは、あと1年ありますので、時間をかけて対策していきましょう。欧州に顧客を持つすべての地域の企業が対象です。

なお、ECモールの場合は、これについてどのようになるのかはまだはっきりしていませんので確認中ですが、おそらくはモール側が対応するのだろうと思います。

Writer 横川 広幸

横川 広幸 取締役 越境ECコンサルタント eBayJAPAN創業時に法人営業、マーケティングに従事。eBayに連携した越境ECサイト “Tokyotrad” で日本の仏具を世界86カ国に販売。自らの越境EC成功体験を越境ECアドバイザーとして日本全国でセミナー講演や個別相談を行う。

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