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越境ECとは?

越境ECについて

越境EC (海外販売) とは、インターネットを通じて、日本(自国)の商品を海外向けにB2C、D2CまたはB2Bで商品やサービスを海外に販売することです。世界の越境EC市場は新型コロナウイルス感染症拡大の影響があった2021年9月現在でも、世界の越境ECの市場規模は毎年30%の成長で拡大しており、2026年には4兆8,200億USドルに達するとの予測データもあり、日本国内のEC市場にとどまらない販路拡大・売上増加に繋がる国策として推進されています。

インバウンドで爆買していた中国人他外国人観光客が激減するなか、なかでも日本は200カ国中、購入先人気上位「5位」にランクインしています。(ペイパル調査結果)

また、一般的に海外に直接出店したり現地法人を設立するよりリスクやコストを軽減することができ、かつ商圏は広くなるため、初期投資を抑えながら海外展開を狙うことが可能であり、積極的にアウトバウンド施策として、MADE IN JAPAN の日本商品を海外に向けて販売・輸出していく必要があります。

越境ECの種類

  • ECサイト (自社ドメイン)

    対象となる国や言語を定めて、自社のECサイトを構築・展開して海外販売する仕組みです。専用カートとして多言語多通貨、海外決済に対応しているShopify(ショッピファイ)、Magento(マジェント)、WooCommerce(ウーコマース)などのECプラットフォーム(ECカート)を活用して、BtoC型のオンラインショップ、またはBtoB型の見積機能や商談機能を装備したプラットフォームを構築します。

    自社サイトを構築するメリットの最大の理由は、ECモールと比較して販売手数料がなく、決済システム利用料(約3〜4%程度)のみとなり利益が得やすくなります。また自社ブランドの国際的知名度を高めたい事業者にもおすすめです。

    ブランド毀損することもなく、独自の自由なルールの制定、自社で集客はしなければなりませんがクーポンやポイントなどの独自販促、大量の固定ページ作成、カテゴリー、LP(ランディングページ)、ブログやニュースなど独自コンテンツを豊富に掲載してオウンドメディアとしても活用することができます。

    また、海外ECモールのポリシーにより日本酒などの酒類販売について、多くの海外ECモールで禁止されているため、必然的にECサイトを自社で構築して運営しなければならない業種があります。

  • 海外ECモール / オンライン展示会への出店

    BtoC型の場合、海外販売が許可されているECモールに開店・出品を行います。例として、中国で展開されている、Tmall Global(天猫国際)、Kaola(考拉海購)、京東全球購(JD Worldwide)、淘宝(タオバオ)、欧米で2強といわれる eBay(イーベイ)と Amazon(アマゾン)、東南アジアに強い Shopee(ショッピー)、Lazada(ラザダ)などが有力となり、この他に現地ローカルECモールへ出店する場合もあります。

    BtoB(法人取引)型の場合、世界三大BtoBマーケットプレイスと言われる世界最大のオンライン型展示会機能を持つプラットホーム Alibaba.com (アリババ)、Amazon Business(アマゾンビジネス)、Thomasnet(トーマスネット)に出展が有力です。

    BtoB法人取引はECカートで購入するビジネスモデルではなく、A社が運営しているオンライン展示ブースにB社が訪問し、仕入れたい商品を購入するための商談を行う仕組みです。自社でBtoB型のECサイトを構築して運営するには、多額の構築費用と月々の費用、物流インフラや多くの人手が必要ですが、BtoBマーケットプレイスを利用すれば費用を抑えて商品を販売することができます。

  • 日本倉庫・現地倉庫(保税区)活用型出店

    海外販売の発送方法として、基本的には日本からの発送が大半ですが、在庫が大量にある場合や、中国他海外で本格的に販売する際には、海外の自社倉庫または保税区(主に中国)を利用します。

    指定された保税区の倉庫に商品を予め納品しておき、オンラインショップやECモールなどで商品が購入された場合、その倉庫からお客さまに商品を発送する仕組みです。現地倉庫も同様に海外Amazonで利用されるFBAなどがそれにあたり、配送時間が短く、送料も安価にできる方法です。

    日々大量の商品が入荷し出荷するような場合には、日本国内の指定倉庫に商品在庫を保管して、販売できたら倉庫会社が商品をピックアップして国際物流梱包を丁寧に行い、インボイスや伝票を貼り付け速やかに発送まで代行する、疑似的なフルフィルメントサービスを利用する場合もあります。

  • 転送・買取型

    転送型の場合、日本国内ECモールのヤフオク!、ヤフーショッピング、楽天などに出店したまま、日本国内の転送事業者に商品を買い取ってもらい、海外の購入者に発送代行してもらう方法です。

    販売する事業者は、日本の代行業者の国内指定倉庫に配送するだけで済みますが、代行販売での利益や高額な配送料、手数料などが上乗となるため、最終価格が日本の販売価格より高く購入者は嫌がるケースも少なくありません。販売者は幾らでお客さまに販売されたのか、どの国のどの方に売れたのか、購入後の感想や要望、レビューなどの情報は、個人情報の譲渡や受渡となるため入手できないことが多く、自立が難しいモデルと言われています。

    買取型ではジェトロ日本貿易振興機構が支援する「JAPAN MALL事業」があります。連携先のECバイヤーに商品を紹介して購入いただく事業で、原則国内に納品、国内買取で円建決済する取引です。複雑な輸出手続きが不要ですが、どこの誰に何が幾らで売れたのかの情報や、顧客との接点は持てないことを理解して利用する必要があります。

    またECバイヤーとの商談は実際ハードな値切交渉となることが大半で、1万円の国内定価の雑貨商品を卸値5千円で交渉したところ、「300円なら100個購入します」などと想定より大幅なディスカウント交渉となります。ECバイヤーも購入して在庫を持つリスクがあるため希望卸値での交渉はまず難しいでしょう。粗利が高い商品で在庫を豊富に持つ事業者に向いているでしょう。

  • 一般貿易型EC販売 / 相手国自社サイト

    越境ECの定義からは外れますが、一般貿易型EC販売として、一般貿易同様に国内の輸出者と相手国の側輸入者との間で貿易手続きを行い、相手国側のECモールや ECサイトで商品を販売するモデルがあったり、相手国側で自社サイトを構築して事業を運営するモデルもあります。既に相手国において自社商品が浸透していて、かつECサイトの運営を自社でコントロールできる体制を整えておく必要があります。

越境ECの現状

令和2年において、日本・米国・中国の3か国間における市場規模は、いずれの国の間でも増加しており、中国消費者による日本事業者からの購入額は1兆9,499億円(前年比17.8%増)、米国事業者からの購入額は2兆3,119億円(前年比15.1%増)、昨年に引き続き増加しています。

世界のB2C越境EC市場規模は拡大傾向です。2020年の世界の市場規模は9,940億ドルで、対前年比成長率は20.3%で伸びており、2021年以降は新型コロナウイルスの影響でEC化率が急増したため、欧米では前年比65%(2021年4月 米国Adobe社発表)成長率です。

また、アクセンチュアの調査でも2020年世界の市場規模は、約1兆億ドル(約110兆円)に達すると言われており、小売全体に占める割合も7.4%から14.6%まで急増する見込みとなっています。

世界の越境EC市場規模

出所:経済産業省 電子商取引に関する市場調査

国別の消費国の市場規模は、米国が1位で400億ドル、2位が中国で390億ドル、3位が英国で120億ドル。利用者数では1位が中国、2位が米国、3位が英国となり市場規模の大きさが分かります。

主要なBtoC 国別EC市場規模
(単位:万人)

出所:UNCTAD(2017)Information Economy Report 2017:Digitalization,Trade and Development

主要なBtoC 国別越境EC市場規模
(利用者数)

出所:UNCTAD(2017)Information Economy Report 2017:Digitalization,Trade and Development

さらに、各国間の越境ECポテンシャルの推計によると、米国から日本、中国から日本の購入額は大きく伸びており、世界的な市場拡大は明らかで、「MADE IN JAPAN」の人気の高さがうかがえます。

越境ECポテンシャル推計値
(単位:億円)

出所:経済産業省 電子商取引に関する市場調査

このように、中国や欧米を中心とした世界市場では、インターネットの拡大とスマートフォンの普及、物流システムの充実、決済機能の多様化、インフラ整備などによって大きく拡大、成長しています。

日本だけでなく世界でも、新型コロナウイルス感染症や社会的な様々な問題で、通販購入利用率が急増しており、2021年開催予定の東京オリンピック・パラリンピック、政府によるインバウンドと観光の再始動などにより、まさに今こそ海外販売に取り組む絶好の機会と言えるでしょう。

各国市場と取り組み

米国におけるEC市場は、過去10年にわたって絶えず進化しており、今後数年間に渡って右肩成長を続けていく見込みです。売上高は、2024年には5,900億ドルを超えると予想されています。アメリカでは、Amazon、eBay、Walmart、Apple、Target、Etsyなどが不動の人気を誇っています。

米国

出所:Retail e-commerce sales in the United States from 2017 to 2024

米国のオンライン小売に対する顧客満足度は比較的高い数値を記録しており、米国のインターネットユーザーの78%がオンラインで製品を購入、32%が少なくとも1か月に1回はインターネット経由で商品を購入すると答えています。その内の29%は、週に1〜2回、または週に3〜5回もオンラインで買い物をするなど、頻繁に通販サイトでの入・利用しています。

また米国の電子商取引市場では、すべての年齢層でモバイルショッピングの存在感が高まっており、スマホやタブレットユーザーに合わせた「モバイル・フレンドリー」な越境ECサイトの構築が必須となり、もはやパソコン向けのECサイトは”おまけ”に過ぎないような状況です。

欧州

出所:Online Shares of Rentail Trade 2015-2017

Mastercardの調査では、インターネットにアクセスできるヨーロッパ人の4人に1人が少なくとも週に1回オンラインで買い物をしており、そのうち60%以上が月に1回オンラインで買い物を済ませ、6%が毎日インターネット経由で製品やサービスを購入しています。

また英国、ドイツ、フランス、北欧、スペイン、イタリア、ポーランドでは、アパレル・靴のカテゴリーが家庭用電化製品や書籍と同様に最も人気のある製品カテゴリーとなっています。

出所:ecommercenews.eu

ヨーロッパ(EU圏)では、Amazon、Otto(ドイツ版Amazonのようなサイト)、John Lewis(電化製品、生活用品)、Apple、Zalando(アパレル、生活用品)といったオンラインサイトが人気を集めています。

さらに、日本文化が人気を集めて、J-POPやコスプレ、フィギュアなどオタク文化を日本のファッションとして認識をされており、ヨーロッパ各地で日本の文化や商品を展開するイベントも数多く開催されています。日本からヨーロッパに展開していく企業にとって追い風となっており、特にドイツ、フランス、イギリス(間も無くEUを離脱しますが)の3カ国からの注文で8割を占める調査データもあります。

中国

出所:Bloomberg & National Bureau of statistics of China

中国はいまや世界最大のEコマース市場と言われており、越境EC取引では約半数以上が中国経由と言われるほど存在感が増しています。オンライン収益でも米国とEUを追い抜き、市場の可能性や魅力が大きくあるのですが、独特の商習慣や規制などが数多く存在するため、メリット・デメリットをよく理解した上で進めていく必要があります。

中国での人気サイトには、天猫 (T-Mall)、京東 (JD.com)、淘宝網 (タオバオ)、唯品会 (VIPSHOP) などがあります。とりわけ、食品、ベビー・子供用品、健康・美容補助食品、医薬品などの生活用品のカテゴリーの売り上げが好調で、日本製品が一番売れている巨大市場となっています。

東南アジア

出所:SimilarWeb

東南アジア(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)には3億5,000万人以上のインターネットユーザーが存在しています。東南アジアの人口の90%以上が主にモバイルデバイスを介してインターネットに接続しており、この数値はより高速で信頼性の高いモバイル通信サービスが整備され、よりスマートフォンでのアクセスがしやすくなるにつれてさらに増加すると予想されています。

加えて、GoogleとTemasekによると、インターネット経済が急速に成長することで、2025年にはEコマース売り上げは、2,400億ドルの大きな産業になると予測されています。富裕層も増えインフラも整ってきた東南アジアですが、全世界のEC市場と比較するとASEAN6カ国合わせても1/50程度の規模しかなく、投資目的の海外販売参入が多いのですが、競合が育っていない市場でいち早く自らの市場を創り出そうとする事業者には人気の市場となっており、今後の市場急拡大にも期待ができる市場といえるでしょう。

越境ECに関する10の課題

    • 広告費用

      販売実績や知名度が海外で乏しい状況で、単に日本製品という理由のみで商品が売れるはずはなく、できるだけ国内での実績や知名度を活かしながら、広告宣伝を如何に低減させて販促や告知を行うかがポイントです。

      またインターネット広告、イコールGoogleなどの検索広告と認識している方が多いのですが、年間で1.84億人のアクティブユーザーが訪れるeBay、言わずと知れたAmazon米国、東南アジアのShopee、Lazadaなど、海外ECモールに出店して露出やマッチングを増やす施策や、当社でも行なっている Facebook公式ページ 「JAPAN CRAZE」 を活用して外国人によるインフルエンサー(KOL)によるSNS口コミマーケティング、タイムリーな越境EC専用のクーポンを配布する 「j-Coupon」 などを通してECカート購入促進にも繋げていくなど、いつどこにどの程度の予算で広告を打ち込んでいくのかを検討したうえで、積極的に活用していく必要があります。

    • 法規制・制度変更

      中国では「越境EC税制導入」が1年以上延期となり2019年に施工されるなど、税制や規制について大きな変更が頻繁に実施されます。特に人気となる化粧品では、NMPA(旧CFDA : 国家食品薬品監督管理総局)の登録義務が課され、税制改定も立て続けに行われています。日本の事業者にとって不利益となる制度変更が突発的に発生する可能性も排除できていません。

      中国以外の国では法制度が頻繁に変わることはありませんが、いつ何時に法制度が変更されても問題がないように日々注視していく必要があります。

    • 食品輸入規制

      福島原発での事故を受け、中国へ輸出する食品や農産品の放射能汚染の安全性を確保するため、福島県、東京都、栃木県を含む10都県の食品、農産品、飼料の輸入が禁止、台湾でも5都市からの食品輸入が禁止されています。その他の国は国別に輸出可能かどうかの調査が必要です。

      個別に調査するには、植物防疫所、動物検疫所の相談窓口に確認するなど、輸出と貿易に関する最新情報をもって手続きを行っていく必要があります。越境ECは基本的には非商用の輸出であれば原産地証明は不要ですが、対象国によってルールが様々であり常に変化するため、違法な取引にならないよう輸出や貿易に関する専門家のアドバイスも受けながら細心の注意を払っていく必要があります。

    • 配送時間と送料

      商品を注文してから消費者に配達されるまでに要する時間を極力短くすることが重要です。近年Amazonのプライム会員が海外でも急増した影響で、注文してから当日または翌日に届くのが当たり前と思っています。配送時間だけでなく、関税や諸税(VATなど)、国際配送料を含めた支払額総額で比較され、デリバリータイムが長いとカート落ちや注文をキャンセルされるリスクも高まります。

      消費期限が短い食品の場合には、配達遅延によって賞味期限を過ぎてしまったり消費期限が短くなると、返品やクレームにつながる可能性があるので注意が必要です。

    • カスタマー対応

      英語やでお客さま対応を行うことが多く、場合により英語以外の現地語でのカスタマー対応が必要な場合もあります。特に中国ではWeChatやWhatsAppなどのソーシャルメディアでのリアルタイムチャット対応や、ECモールが用意するメッセージツールなどでのやり取りが一般的なこともあり注意が必要です。

      加えて発送した商品の返品が日常的に生じることも珍しくありません。特に衣類の返品率が高く、独身の日(11月11日)には衣料分野において返品率が60パーセントにまで及ぶ例もあります。中国のECモールのルールでは、中国側に返品用倉庫を用意しないと出店すらできない場合もあり、そのため中国側のパートナーと連携して事業を進めなければなりません。反面、欧米・東南アジアからの返品や返金率、クレームは中国と比較して少ないことが多いのですが、返品や返金は必ず生じることを肝に命じて販売価格を決めたり運営を行う必要があります。

    • 為替変動リスク

      為替変動が売上に与える影響は少なくなく、事業者が直接コントロールできないため、最近では日本円で販売する事業者が多くなりました。越境ECの自社サイトでは、為替変動リスクのない日本円で商品価格を設定して、ドルやユーロなど購入者の自国の通貨に自動換算した金額で決済することが大半です。

      しかし、自社ドメインのECサイトShopifyやMagentoの場合、海外価格を決めることができるため、日本販売価格1万円の商品を120USドルなどと設定してから、外貨決済を行うことも可能です。また、決済アカウントに保管された売上金を、日本の銀行口座に振り込むタイミングで為替や振込手数料を低く抑えるテクニックもあります。

    • 不正注文

      他人のクレジットカード情報を無断利用してECサイト上で不正注文される被害があります。これは国内ECでも同様ですが、海外発行のクレジットカードが利用されるため、日本以上の不正利用のリスクがあります。

      防止策として、不正利用検知システムの導入、チャージバック保険などを導入することでリスクを軽減をしていくなど、事前に不正注文に対するリスク対策を行なっていく必要があります。

    • 高額商品の決済

      ペイパル (PayPal)決済では、取引上限額が日本では100万円までとなっており、高級ブランド品などで、1回の取引金額が100万円超えることができません。しかしShopify や Magento でStripe (ストライプ) 決済を導入することで、100万円超えの取引を行うことが可能です。

      また、BtoB取引では銀行口座への送金を希望する事業者が多く、越境EC取引用に海外銀行口座を持つ必要があります。B2CでもeBay、Amazon、Shopeeなどに出店する際にPayoneer (ペイオニア) の海外銀行口座がないと出店・開店できないケースもあり注意が必要です。

    • 真贋判定

      販売経路の多様化に伴い購入者が模倣品を受け取るなど、悪意のある販売事業者から騙される被害や、同梱品の一部だけが偽物に変えられるといった、非正規品の流通が深刻な問題となっています。

      正規品であるかを確認できる判定サービスを導入することで、お客様に安心と安全を提供し、ブランドイメージ向上にも繋げることも可能です。(導入事例:キヤノンITソリューションズ C2V CONNECTなど)

    • 商標権の取得

      ブランド力がない限りは無縁だと思ってはいけません。それほど多くの人に認知されていない、知る人ぞ知ると言ったレベルのものでも、特に中国で被害にあう例が多発しています。

      商標権の取得には費用が掛かりますが、できるだけ取得してください。また、販売を行う前に対象国にて他社に先行取得されていないかなど、事前に調査・確認する必要があり、商標権事前調査など国の補助が利用できる場合もあります。

    • 参考:経済産業省「内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)

越境EC業界トレンド

  • 電子商取引法の施行(中国)

    2019年1月1日、中国で初めて電子商取引に関する包括的な法律である電子商取引法が施行されました。この法律は、中国の電子商取引の規範の制定及び消費者保護を目的としています。

    これまでの間、大変に不明確であった電子商取引事業者の定義・分類や消費者権益保護、当事者に係る信用管理規 定、取引従事条件や違反事項にかかる罰則などをより明確化してきました。その中でも特に重要な変更点として、転売目的の個人事業者でも今後は事業者の登録をしなければなりません(自家農産品、手作り品は対象外)。

    アリババや京東などのECプラットフォーム運営者は、出店者の信用情報を管理しなければならず、出店者に関する基本情報をしっかり審査して情報登録を行い、かつ定期的に審査、更新を行わなければなりません。日本の事業者にもて適応されており、日本のEC事業者の法人登録と比較にならないほど厳格化されており注意が必要です。

    その他にも、越境EC取引指定拠点の全国的な拡大として2020年1月17日、商務部、発展改革、財政部、海関総署、税務総局、市場監督総局の6官庁共同で、「輸入小売実験地」を37都市から86都市に拡大され、さらに同年5月には実験特区の範囲を拡大する策も打ち出され全国105か所と全国的に拡大されました。

  • インフルエンサー・KOLマーケティング

    インフルエンサー、またはKOL(Key Opinion Leader)と呼ばれるSNS上で多くのフォロワーを持ち、消費者の商品購入に大きな影響を与えることのできるインフルエンサーが存在します。インフルエンサーは、動画やライブコマース形式で商品を紹介して、それを視聴した消費者が実際にその商品を購入する購買行動が一般化してきました。iResearch 社の調べによると、中国では2020年の時点でインフルエンサー経由でのEC市場規模は約3,000 億元に達しています。2021年以降もその勢いは衰えておらず、多くの消費者がインフルエンサーの紹介によって商品を購入しています。インフルエンサー経由でよく購入される商品は、「食品、飲料」47%、「衣料、靴」45%、「化粧品、美容関連製品」42%となっています。

  • 大幅に減少した訪日外客数と越境ECの関係

  • 外国人による訪日と越境ECには密接な関係があり、日本貿易振興機構(JETRO)が過去に実施した訪日経験のある中国消費者へのアンケート調査では、「なぜ日本の商品を購入したか?」という質問に対し「日本に旅行をしたときに購入して気に入った製品だから」と答えた消費者が40%以上と日本滞在時に実際に商品に触れた経験、自分自身の目で確認できた経験、信頼できると認識した経験が起点となり、日本からの海外販売利用が促進されています。

    しかし、新型コロナウイルス感染症拡大の状況下において、訪日外客数が著しく減少しており、日本政府観光局発表の発表では2020年は中国訪日外客数が107万人、米国訪日外客数は22万人となっています。特に中国からの訪日外客数の減少が著しく、インバウンド消費をあて込んだ小売業にとっては大きな痛手となりましたが、一方で越境ECについてはJETROのアンケート調査でも海外販売はインバウンド需要の受け皿になる可能性を示唆、訪日が叶うまではECで購入する消費者が増加しています。

    しかしながら、訪 日がきっかけで商品の存在を知りEC購入につながったという流れを考えれば、商品を新たに知る機会が減少したことは痛手と考えられ、結果的によく知られている商品の購入機会は増加しているが、新しい商品については認知度が高まらず苦戦している市場が二極化しているが、今後ポストコロナ、アフターコロナで必ずやってくる「リベンジ消費」は数年後には予想されていることから、いまからしっかり準備を備えておくことが重要となるでしょう。

  • クリック・アンド・コレクト

  • 実店舗を持つ小売店は、新型コロナウイルス感染症拡大と全国的な物流インフラの制約を受け、オンラインで購入して店舗でピックアップする「クリック・アンド・コレクト」利用が急増しました。特に海外で実施された「ロックダウン」が本格化すると物流が機能しなくなるため既存物流サービスの需給のギャップを埋める役割を果たしています。

    スーパーマーケット大手 Walmart は、車に乗ったまま商品を受け取れる「カーブサイド・ピックアップ」サービスを提供、店舗に入る必要が無く、オンラインで注文して指定した時間、店舗まで車両で出向き、店舗の従業員が注文品を車両に積み込むというサービスが大人気です。生鮮食品、アパレル、電子機器、書籍等幅広い商品を入手でき、他小売店もカーブサイドピックアップのサービス提供を開始しており今後も拡大していくものと期待されています。

  • 食品EC市場と実店舗閉鎖の加速

  • 海外EC購入率で食品市場は急成長しており、2020年の市場規模は245億USドルと推計されています。新型コロナウイルス感染症が拡大した以降、食品EC分野の売上高は前年比221.4%を記録しており、人々はレストランで食事することを控え、通信販売で購入してお取り寄せをしたり、テイクアウトやデリバリーの選択も増えました。

    また、自分で商品を見て選びたいという消費者心理や配送料負担の問題でこれまでEC化があまり進んでこなかった生鮮品分野についても、EC利用が急速に拡大しました。「クリック・アンド・コレクト」に加え「Instacart」は、小売店や飲食店と提携してラストワンマイル配送を提供しています。これまで利用者の中心は富裕層でしたが家から出たくない一般の消費者まで引き付け前年比500%近くの売上成長を記録しました。

  • また実店舗の閉鎖が世界中で相次ぎ、百貨店やアパレル大手の倒産等の影響により米国だけでも25,000 店舗以上が閉店を余儀なくされており、販売者の商品を展示するための「棚数」が減少してため、メーカー各社は小売店の実店舗に依存しない販売手法としてのECシフトの必要性に迫られた格好です。

越境ECの検討ポイント

    • これからの越境ECの展望

      日本貿易振興機構(ジェトロ)が実施した輸出拡大意欲に関する企業向けのアンケートの調査結果で、「さらに拡大を図る」「今後新たに取り組みたい」と回答した数は2019年では80.4%の回答率であったところ、2020年の回答率は76.7%へ下落しており、新型コロナウイルス感染症拡大の状況下において輸出意欲が減少したものと考えられます。

    • 一方で、越境ECについては積極的な姿勢が見られており、今後海外販売を拡大すると回答した率は、2018年では35.9%の企業が拡大すると回答していますが、2020 年には43.9%に増加しています。新型コロナウイルス感染症拡大の状況下において企業の輸出意欲が減少していますが、中小企業を中心に海外販売の拡大意向が強まっています。

    • 越境ECで進出する国

      海外販売先に関する国内アンケート調査では、上位から順に中国、米国、台湾となっており、以下シンガポール、ベトナム、タイ、香港、フランス、マレーシア、インドネシアと続いています。4位以降アセアン諸国が挙がっており、アセアン諸国への期待が高い結果となっています。

      しかしながら、中国は市場参入企業数も世界一多く、購入価格もシビアな値引競争となっており、参入企業が設定する売上目標を達成している企業はごくわずかでしかありません。

      一方で、安定的かつ参入障壁も低い欧米、経済規模の拡大と共に今後の個人消費額の上昇が見込まれるアセアン諸国、市場規模が急拡大するロシアなど、ターゲット市場を幅広く見据えたマルチカントリー対応が必要となってくるでしょう。

      ターゲット市場が拡大すると相応のコストや労力も必要となるため、ワンストップで複数の国や市場に進出できる海外EC販売専用のプラットフォームを選択したり、貿易に精通しているコンサルタントや伴走サポートや支援をを賢く利用するなどが、これからは重要となっていくでしょう。

    • 適切な越境EC事業モデルの選択

      複数の事業モデルがありますが、受注後に日本から発送する「直送型」と、相手国に在庫を持って受注後に相手国の倉庫から配送する「相手国送付型」に分けることができます。海外販売する際、どのような事業モデルを選択するのか、事業者にとって悩ましい検討ポイントですが、重要なのは在庫リスクとなります。

      相手国送付型では受注後迅速に消費者に商品を届けることが可能ですが、一旦は商品を「貿易で相手国に輸出する」ことになり、一般貿易ルールとなるためハードルが格段に高い事業です。仮に販売実績が思わしくない場合在庫リスクや倉庫費用が増大しますが、直送型はその逆であり、在庫を日本国内に保有する分、在庫リスクを相手国在庫型よりも低減できます。

      しかし消費者に商品が届くまでのリードタイムに期日を要してしまうデメリットもあります。直送型と相手国送付型の選択は、在庫リスクと配送リードタイムをどのように捉えるのか、事業者の考え方に委ねられていると言えますが、専門家やコンサルタントからの意見も集約しながら判断していくと良いでしょう。

    • 相手国側における認証制度

      製品に関する認証制度は国ごとに内容が異なるため、前もって十分に調査・検討しなければなりません。特に日本からの直送型の場合には、個人輸入と同様の扱いとして製品認証が不要なケースが多いが、国によっては直送型であっても製品認証が必要なケースもあります。

    • 適切な販売価格の設定

      適切な販売価格の設定が重要なテーマとなります。原価に対して必要な経費や利益を加算して販売価格を設定しますが、現場の実情を踏まえ、競合する現地商品との比較に基づいて競争力のある価格設定が必要です。

      販売手数料(マージン)調整も必要です。開始時は特に需要が見えないことも多く、販売価格設定は簡単ではないでしょう。多くのECモールやECショップでは「国際配送料金を含めた最終的な総額」で販売していますが、消費者の目に高額に映れば、購入を躊躇することもあるでしょう。またイベントで実施するクーポンやポイント、セールにも追従しなければならないため、コンサルタントや専門家の意見も鑑み総合的に勘案して適切な販売価格の設定が必要となります。

    • トラブル時の責任範囲の明確化

      消費者の手元に商品が届かない、あるいは届いていたとしても届いてないと言われたり、商品が不良品であるという万一の事態を想定しなければなりません。予め発生し得る具体的な事象を想定して自社で対応すべき責任範囲を明確化して規約などに明記したり商品ページも記載しておくことが望ましいといえます。

      配送の過程での商品破損や汚損が生じた場合、日本郵便や国際クーリエなどの配送事業者が補償対応することが必要です。また外装に破損や汚損がなく届いた商品に瑕疵があった場合には、販売者側に対応が求められます。国ごとに異なるクーリングオフ制度やECモールでの返品ルールがあるため、一次的な問い合わせ窓口含めどのように対応することも重要な項目です。

越境ECで成功と
失敗する企業の違い

成功するためには、“本気” で “長期間” 取り組む姿勢が重要です。

よくある失敗例として、「とりあえず売れるかどうかわからないので経験のない人や手の空いているスタッフにやらせてみる」といったような、経営者や上長が部下に丸投げしたり押し付けるケースがあります。これだとなかなか成功しません。ECサイトを構築したり、海外ECモールやB2Bのオンライン・プラットフォームに開店・出店さえすれば「自動販売機」のように自然と売れていくだろうと誤認したまま実践させようとするケースでも成功した例がありません。

「よくあるご相談で、「越境EC事業を本格化するかどうかを判断するため、3ヶ月で成果を出してほしいと会社から言われています。」といった短期的な視点で取り組んでしまうケースも失敗します。中長期的な視点でじっくり取り組む姿勢が大切で、最低でも3年で結果を出す覚悟で挑んでいただきたいところです。

運営の際にも、与えられている目標や現場の仕事はそのままにしたままとりあえず兼務させたり、国内ECの運用をそのまま海外販売に転用して失敗するケースもあります。各国ごとに商習慣が異なり、ある程度の貿易実務も把握しなければなりません。兼任でも良いのですが、できれば専任の方を準備いただき、海外のお客さまとじっくり丁寧に向きあえる体制を整える必要があります。

最後に「英語や中国語が得意・出来る人」だけを見て運営担当にするケースもよくある失敗例です。仮説と検証を高速回転(PDCA)させて、反応を見ながら常に軌道修正していかなければ、世界のEC市場について行けません。語学重視の人材ではなく、事業に対して意思決定出来る人材を担当にすることが、成功への近道と言えます。

編集:ジェイグラブ株式会社

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