jGrab

COMPARISON

ShopifyとMagentoの比較

世界で人気の「Shopify」と「Magento」

越境ECサイトの二大プラットフォーム「Shopify(ショッピファイ)」と「Magento(マジェント)」、どちらを選択すべきでしょうか。機能面だけでなく、予算や規模感、デザイン、カスタマイズ要望の達成、ROIが戦略的に実現できるのかなどを見極めた上で、最適なプラットフォームを選択することが重要です。【最終更新日:2024年6月21日】

SaaS型とオープンソース型

カナダのShopify社が開発しているSaaS型のプラットフォーム「Shopify」は、100万社を超える企業が利用しているといわれています。有料・無料のデザインテーマが用意され短期間でECショップを開店することができ、拡張性の高いShopify Plusも用意されています。

26万社を超える大企業が利用するAdobe社のMagento ECプラットフォーム「Magento Open Source」は、ミドル級からエンタープライズ向けのオープンソースで、無料でダウンロードを行ったうえで、必要な機能を追加、拡張しながら開発することが可能です。商品点数や売上のある大規模ECサイトを構築する際には、有償版「Adobe Commerce」を利用することもあります。

ShopifyとMagentoを徹底比較

  • 各種数値

    ShopifyとMagentoの詳細な比較を確認する前に、それぞれのプラットフォームが示す数字を見てみましょう。これは、各プラットフォームの信頼性を確認するための優れた方法です。越境ECサイトを構築する前に、デザインや使いやすさではなく、「よく売れているのはどちらか?」をよく考慮する必要があります。

    ECサイト運営・利用数

    アプリ・エクステンション

    デザイン・テーマ

    アプリ販売価格

    月額伴走サポート料金

    shopify

    サイトパワー

    1,000,000〜

    エクステンション・アドオン

    4,500以上(海外アプリ含む)

    デザインテーマ

    70以上*

    アプリ販売価格

    無料 〜 2万円

    月額伴走サポート料金

    3万円〜

    magento

    サイトパワー

    260,000〜

    エクステンション・アドオン

    3,200以上

    デザインテーマ

    50,000以上*

    アプリ販売価格

    無料 〜 50万円

    月額伴走サポート料金

    5万円〜 **

    *設定するデザイン・テーマを外部の販売サイトから購入・導入・設定することも可能です。
    **10万点以上商品があるなど、大規模なECサイトを構築する場合にはAdobe Commerce(エンタープライズ版)を利用しますが、ビジネスの規模、クラウド環境に応じて別途ホスティング費用が必要となる場合があります。

  • 構築手法

    越境ECサイト構築の手法については、ShopifyとMagentoで大きく異なってきます。シンプルかつスピード構築できるShopifyはオープンソース型ではないためカスタマイズの幅がMagentoと比較すると限定されます。Magentoは自由度や柔軟性は高いのですが構築難易度が高くなり費用が総じて高額になります。詳しくみていきましょう。

    ●Shopify
    Shopifyは、オンラインストアの構築&販売に必要なツールが標準装備されているため、スピード感のあるサイト構築が可能で、比較的早く販売開始できます。HTMLやウェブデザインの知識がなくてもECサイトを構築することが可能ですが、クローズドなシステムのため、カスタマイズやアレンジメントを行う場合、HTMLやCSSなど変更を行ったソース類をShopifyのテンプレート言語「liquid」に書き換えるなど難易度が高くなっています。

    機能追加などのカスタマイズや在庫連携、基幹システムなどとの連携は、専門の構築会社に依頼するのが一般的です。eBayやAmazonなどのECモールとの在庫・受注連携もアプリ導入により可能としています。

    ●Magento
    MagentoはPHPベースで構築が可能なオープンソースで作られています。デザインや機能を追加したり、徹底的にカスタマイズできるように設計されています。そのため、中規模から大規模なECサイトに採用され実績が出ています。eBayやAmazonなどのECモールとの在庫・受注連携も得意としています。

    しかし、Shopifyのように予め用意されたもので構築するわけではないため、専門の会社に依頼して構築する必要があります。また運用フェーズになった時には、Magento CMS(Shopifyのエディターに相当するもの)の仕組みを理解する必要がありますが、Adobe社からはマニュアルの提供がないため、納品後のレクチャーやMagento管理ガイドブックが提供できる専門の構築支援会社に依頼する必要があります。

    Magentoは最初は知識が求められるものの、使いこなすととても優れたECショップを柔軟にかつ自由に運営することができ、ECサイトのデザインや仕組みも自由にアレンジ・カスタマイズできます。

    ●選ぶポイント
    販売する商品数が少なく、カートが動いてデザインも簡単なもので良いと決めている方にとってはShopifyがおすすめです。対して、商品量や販売額がある程度見込めるECサイトとして、自社のルールにフィットさせた本格的な多言語多通貨に対応したECサイトを構築・運営、様々な国のルールに合わせて複数の言語サイトを提供したい、SEOや機能・デザインにもこだわりたい方にはMagentoがおすすめと言えるでしょう。

    Shopifyには、eBayやAmazonなどの海外ECモールに出品・在庫連携するアプリがありますが、B2B事業、デジタル販売、ポイントやクーポンを多用した多彩な顧客管理や運用、割賦販売、会員制販売、共同購入など、運用や事業自体も柔軟に変化させる予定がある場合や、商品取り扱い数や販売金額が多い場合にはMagentoが適していると言えるでしょう。

  • デザイン・テーマ

    オンラインストアにおけるデザインは、顧客がサイトにアクセスしたときに一番最初に表示されるショップの顔であり、いかに訪問者に良い印象を与え、信頼してもらえるかが重要です。さらに、スマホやタブレットにもフィットさせてスムーズな表示ができなければなりません。ECショップはデザイン・テーマで売上が左右するといっても過言ではないため、選定作業は非常に重要なテーマであり、ECの導入実績やUI/UXの専門家のアドバイスがあると良いでしょう。

    ●Shopify
    Shopifyでは、有料・無料のデザインテーマを利用します。近年のEC購入ではスマートフォンから商品購入が増えており、Shopifyのテーマはモバイル向けに最適化されています。色やデザイン、ボタンなどの配置の変更するには、HTMLやCSSなど変更を行ったソース類をShopifyのテンプレート言語「liquid」に書き換えて導入する必要があるため、多くのShopifyサイトは無料デザインを採用して簡単に短期間に開店・出品するのがShopify運営の特徴です。

    ●Magento
    Magentoは、無料・有料で数千種類のデザインテーマがあります。パソコンはもちろんスマホやタブレットにも完全対応しており、大型テレビなどのデバイスにも自動的にサイズ変更されますが動作環境が良いものばかりではありません。海外で商品が良く売れている厳選されたデザインテーマを推奨、独自のアレンジメントを行い提供しています。

    MagentoはShopifyのように予め用意されたもので構築するわけではないため、専門の構築会社に依頼する必要があります。また運用フェーズになった時には、Magento CMS(Shopifyのエディターに相当するもの)の仕組みを理解する必要がありますが、マニュアルの提供や納品後のレクチャー、運用中の伴走サポートのある会社であれば問題はないでしょう。

    Magentoは最初は知識が求められるものの、使いこなすととても優れたECショップを柔軟にかつ自由に運営することができますし、ECサイトのデザインや仕組みも自由にアレンジ・カスタマイズできます。

    ●選ぶポイント
    テーマ数では、MagentoはShopifyより上回っていますが、実際に利用できるデザイン・テーマは多くはありません。デザイン・テーマ数が多くあるから良いということではなく、実績があってよく売れていて、バージョンアップにも敏速に追従している安定したデザイン・テーマ会社のデザインを選ぶ必要があります。

    さらに自由にアレンジメントが可能かどうかも見極める必要があります。Shopifyのデザイン・テーマは100未満と多くはありませんが、動作の安定したデザインを利用することが可能です。自由度はMagentoほどありませんので、デザインにこだわりたい場合は、専門の構築会社に依頼をすることになるため、Magento同等の時間がかかるので注意が必要です。

    なお、Shopify、Magentoのどちらかを利用するにしても、共通して考慮すべきポイントは、ユーザーにとって購入しやすいか、カート落ちしないか、本店の自社サイトとして信頼感が表現できているのか、安心した決済が動作する環境にあるのか、各種コンテンツページとの連携や遷移がスムーズか、サイト読み込み時のスピードはどうかなどです。総合的にチェックする必要があり、専門家のアドバイスがあるとなお良いでしょう。

  • アプリ・エクステンション・アドオン

    Shopify、Magentoもオンラインストアを構築するための基礎的な販売機能はありますが、サイトの機能を拡充し、トラフィックや売上を上げるためには、アプリやエクステンション(アドオン拡張機能)を追加していくことが必須となります。

    ●Shopify
    Shopifyでサイトを拡大していくためには、アプリの活用が欠かせません。Shopifyには無料・有料アプリがありますが、アプリの多くは英語表示となっており、最近では日本語に対応したもが増えてきたものの充実はしていません。一例として以下のアプリがあります。

    • カゴ落ち対策

    • 海外eBay Amazon連携
    • 海外ECモール連携機能
    • SNSフィード表示
    • 商品発送追跡機能
    • 不正利用対策
    • SEO強化対策
    • 多言語、多通貨機能
    • 国際決済の導入
    • メルマガ
    • その他多数

    ●Magento
    Magento Marketplaceには、約3,200種類以上の無料・有料の拡張機能があり、拡張機能は専門の会社に動作確認を依頼してから追加導入することが可能です。Magentoの拡張機能の一例として以下のような機能がありますが、詳しくは専門の業者にお問い合わせください。

    • メジャーな国際決済の導入
    • 海外eBay Amazon連携
    • 会員制販売機能
    • 予約注文受付機能
    • SEO強化機能
    • B2B見積機能
    • 顧客追跡機能
    • QRコード販売機能
    • 多言語、多通貨機能
    • 定額販売機能
    • 割引クーポン、ポイント発行
    • その他多数

    ●選ぶポイント
    Shopify、Magentoともにアプリやエクステンションなどの拡張機能の種類は豊富ですが、共通して考慮すべきポイントは、本店の自社ECサイトとして、予め確定している自社の運営方法とフィットするのかどうか、運営者視点で利用しやすいアプリ、エクステンションになっているのか、動作が安定しているか、ECプラットフォームのバージョンアップに対応できるか、導入実績などの確認など、総合的にチェックする必要があり、専門家のアドバイスが必要でしょう。

  • 決済方法

    オンラインショップの運営において、安心できる決済手段の導入は非常に重要です。とりわけ、自社製品を海外のユーザーに販売する場合、信頼できる決済手段があるかどうかが売上を左右します。

    ●Shopify
    Shopifyでは、日本に拠点を置いている事業者様の場合、29種類の決済方法がご利用いただけます。独自の決済方法として「Shopify Payment」あります。この機能を使用すると、Shopifyのダッシュボードで支払いを直接管理できます。なお、Shopify Paymentの場合、決済手数料は3.4%〜となっていますが、それ以外の決済方法を利用する場合には別途2%〜の上乗手数料が必要です。

    クレジットカード、デビットカード、Apple Pay、Google Pay、Shop Pay、PayPal、Amazon Pay、KOMOJU、携帯キャリア決済、Paidy、GMOイプシロン、SBペイメントサービスなどの決済方法があり、それぞれの決済方法によって決済手数料は異なります。また、Shopifyを登録した国により利用できる決済が異なりますので注意が必要です。

    ●Magento
    Magentoは、越境ECでは Stripe(クレジットカード、Alipay、WeChatPayなど含む)、PayPal、日本国内ECでは、GMOペイメントゲートウェイの決済手段を採用するこが可能です。

    ●選ぶポイント
    ShopifyもMagentoも決済は柔軟で多くの決済サービスを利用することができますが、中国越境ECに強いAlipay、WeChatPayを備えるStripe決済を利用したい場合にはMagentoになるでしょう。基本的には越境EC販売の対象国により導入する国際決済が異なりますので、専門家のアドバイスを受けてから検討・決定すると良いでしょう。

  • SEO

    SEOの設定に関しては、ShopifyとMagento共に標準機能で提供しています。両方のプラットフォーム上に構築されたストアは、Googleや他の検索エンジンに対応したものとなっており、検索結果の上位にランク付けされる可能性があります。アプリやエクステンションを導入することで、より高機能なSEO対策をすることが可能です。

    ShopifyとMagentoの両方で、ストアをより簡単に検索エンジンに対応したフレンドリーな設定にするために、ShopifyのエディターとMagentoのCMS(コンテンツ管理システム)から必要な手順を実行することができます。これはエクステンションやアプリなどの拡張機能を追加することなく、標準機能で最低限のSEOは提供されていることを意味します。

    例えば、ページのタイトルと説明について、検索結果ページでどのように表示させたいのかを定義します。これにより、検索エンジンにストアの内容が詳しく伝えられ、購入しようとしているユーザーの検索で表示しやすくなります。

    また、画像に代替テキスト(alt)を追加して、検索エンジンに画像を認識できるように設定したり、Facebook、TwitterやInstagramなどのソーシャルメディアと共有ボタンやリンクを設置することも可能です。

    さらに高機能を求める方には、ShopifyならApp Store、MagentoならMagento Marketplaceで高機能なSEOをサポートする拡張機能を追加することも可能です。サイトの表示するスピード、メタタグの設定、SEOスコアチェック、検索順位チェックなど、様々な対策を施すことができます。

    ●選ぶポイント
    Shopifyでアプリを追加導入して高機能なSEO対策を行う場合、買い切りではなく月額で$10ドル〜$30ドル程度の支払いが必要となります。Magentoの場合には、Marketplaceから数百を超える高機能SEOエクステンションを購入して利用しますが買切りとなっています。

  • 運用コスト

    ShopifyとMagentoの大きな違いの一つとして、ShopifyはShopify社がホストするECプラットフォームをそのまま利用しますが、MagentoはOpensource版を利用する場合にはクラウド型のサーバーを自社で運用・保守することになります。

    Shopifyは自社でサーバーを運用せず、運用費用は月額の利用料に含まれます。Magentoはクラウドサーバーの運用と保守を自社で行うか、構築会社などに運用保守を依頼することになりますが、中小企業から大手企業に最適な選択肢といわれています。

    では、各プラットフォームに関連する特定のコストに関して掘り下げてみましょう。

    ●Shopify
    Shopifyに関連する費用は月額で支払いますが、初期費用が発生するものもいくつかあるため、オンラインストアをセットアップする際に注意してください。Shopifyは無料のデザイン・テーマを提供していますが、サイト構築の選択肢を広げるために有料テーマを設定することもあり価格は10〜200ドル程度です。

    また、独自ドメインを利用しない場合には、ショピファイがランダムで決めるドメインとなります。
    (例:www.jgrab.myshopify.com)
    自社ドメイン名にする場合には初期取得費用がかかり、毎年更新する必要があります。

    ●Magento
    Magentoのインフラ保守運用代行費用は平均的に月額5万円〜で、ECサイトの規模や商品数によって構築会社と相談しながらクラウドサーバーを選択できるようにしてください。デザイン・テーマは有料かつ販売実績のあるデザインを導入しても初期構築費用に含まれています。ドメインはお客様指定の独自ドメインで運用を開始します。サブドメインも利用可能です。

    ●選ぶポイント
    越境ECサイト構築の初期費用や運用保守費用は、構築するECサイトの規模、商品数、言語数、追加機能の有無によって異なってきます。初期コストを抑えるならShopify、自由度や柔軟性である程度予算に余裕がある場合にはMagentoとなるでしょう。また、Shopifyはかかる費用を月額で支払っていきますが、Magentoは初期構築費用である程度まとめての支払いになります。いずれにしても扱う商材や商品数、使いたい機能やドメインなどの要件次第で、中長期的なコストパフォーマンスが変わってきます。

Shopify と Magento 総評

Shopifyは短期間での開店ができ変更も管理画面からとなるため比較的容易である点、またソフトウェアの更新が不要であることで、とても扱いやすいECカートサービスです。詳細なデザインや機能カスタマイズの実現は難しいことがありますが、管理画面内でアレンジできることを中心に、フィッティングしていきます。対してMagentoは比較的規模の大きめなショップであること、柔軟なデザイン・カスタマイズが必要であること、B2B機能などの追加機能を利用したい場合にはMagentoが最適と言えるでしょう。

また、この2つのサービスに絞るのではなく、WooCommerce(ウーコマース)、Big commerceなど、他のECカートやサービスもしっかり確認をしておくべきでしょう。最終的には機能や将来性を比較して、自社に必要なサービスであるか、親和性があるのか、ROIが戦略的に実現できるのか、などを見極めた上で最適なプラットフォームを選択することが重要です。

ここまで、ShopifyとMagentoの比較として、類似点と相違点について確認してきましたが、それでもどちらを使うかどうか迷っているという方は、ジェイグラブにご相談ください。中立公平な立場で越境ECコンサルタントが、お客さまに最適なECカートや構築手法をアドバイスさせていただきます。お気軽にご相談・お問い合わせください。

 

編集:ジェイグラブ 越境ECラボ