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越境EC事業者への警鐘:データの丸呑みでは成功できない理由

2024年6月4日にeBay Japanが発表した「イーベイ・ジャパン 2024 年 第 1 四半期 越境 EC レポート」が話題となっています。このレポートは、日本からeBayを利用して海外に越境EC販売するための公式データのため、多くの事業者が参考にしています。

特に売れているカテゴリの商品を把握するために多くの事業者がこのデータを利用しており、次の仕入れ戦略を練る一助としています。しかし、ここで一つ重要な警告があります。過去のデータに過度に依存して、売れている商品をそのまま仕入れれば成功する…という安直な考え方は、成功への道とはならないこともあるということを肝に銘じておくと良いでしょう。

過去のデータの限界

まず理解すべきは、過去のデータはあくまで過去のものであり、未来の市場を正確に予測するものではないという点です。為替や株もそうですが未来は予測不能で越境ECトレンドは常に変動し続けています。例えば、あるカテゴリの商品が2024年第1四半期に好調であったとしても、それが次の四半期も同様に売れるとは限りません。消費者の嗜好や競合の動向、新たな技術や製品の登場など、さまざまな要因が市場に影響を与えます。

トレンドの移り変わり

トレンドは一過性のものであることが多く、特定の商品やカテゴリが短期間で爆発的に売れることもあれば、そのブームが去った後に急激に売れ行きが落ち込むこともあります。このため、過去の成功事例をそのまま踏襲するだけではなく、常に市場の動向を注視し、柔軟に対応することが求められます。

データの”裏”を理解する

成功するためには、データの表面的な数字だけでなく、その背後にある要因を深く理解する必要があります。てうあるカテゴリの商品が売れている理由は何か、その成功にはどのようなマーケティング戦略があったのか、消費者がその商品を選んだ理由は何か、といった点を考慮することが重要です。これにより、単なる数字の羅列を越えて、実際のビジネスに役立つ洞察を得ることができます。

多角的なアプローチの重要性

越境EC事業で成功するためには、多角的なアプローチが必要です。テストマーケティングやフィージビリティー、市場調査、競合分析、消費者のフィードバックの収集など、さまざまな情報源から得られるデータを総合的に分析し、自社の商品戦略に反映させることが求められます。また、地域ごとの文化や消費習慣の違いを理解し、それに合わせたマーケティング戦略を展開することも重要です。

リスクマネジメントの重要性

さらに、リスクマネジメントも忘れてはならないポイントです。特定の商品やカテゴリに過度に依存することは、ビジネスのリスクを高めることにつながります。多様な商品ラインナップを持ち、どのカテゴリが売れなくなっても他のカテゴリで補えるような戦略を構築することが重要です。

まとめ

eBay Japanの越境ECレポートは、越境EC事業者にとって貴重な情報源となることは間違いありません。しかし、その情報を丸呑みして過去のデータだけに依存することは、成功への確実な道ではありません。市場の動向を常に注視し、多角的なアプローチとリスクマネジメントを取り入れた柔軟な戦略を構築することが、越境EC事業の成功につながります。

事業者の皆様には、データの背後にある要因を深く理解し、自社の強みを活かした戦略を展開することで、より持続可能なビジネスを実現していただきたいと思います。未来の市場は誰にも予測できないからこそ、柔軟で適応力のある経営が求められると思っています。

Writer 山田彰彦

山田 彰彦 代表取締役 越境ECコンサルタント eBay JAPAN創業メンバー、ヤフー株式会社コマース事業などを経て越境EC専門 ジェイグラブ株式会社を創業。越境EC歴24年。イーベイ・ジャパン公認コンサルタント、ジェトロ新輸出大国コンソーシアムEC専門家、中小企業庁「新しい担い手」越境EC委員も務める。

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