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越境ECブログ

国際的緊張の中でも欧米製品を欲しがる中国人ユーザー

こんにちは。ジェイグラブの横川です。

越境ECを行う場合、経済的なニュースだけで結論を出すのは浅はかで、政治面を伝える国際ニュースも視野に入れて置かないとだめだとセミナーではよく話します。最近は「経済安全保障」という言葉も出てきて、日本政府もそれを視野に入れた法整備も始めています。

ロシアがウクライナに侵攻して以来、かつての冷戦の復活のような状況になってきています。冷戦のニュースや新聞の情報を理解できた、冷戦を肌身で知っている世代は昭和40年代生まれまででしょう。

こうした状況ではありますが、中国人は越境ECでものを買うという活動にはエネルギッシュであることが調査結果でわかりました。

しかし、日本企業がその恩恵にあずかれるかどうかは別の話ですが。


緊張にもかかわらず、中国のオンラインショッピングの多くは西洋製品を欲しがっている

中国とアメリカやヨーロッパとの関係は緊迫しているかもしれないが、多くの中国の消費者は、ナイキのスニーカーやバーバリーのトレンチコートを欲しがっている。

2022年5月、過去1年間に越境ECで買い物をした1,000人の中国人オンライン消費者を対象にした調査では、51%が今後も1年間に欧米ブランドからもっと購入する予定であると答えている。

「欧米のブランドは、来年も中国の消費者の関心が持続すると読み、強気にでるはずだ」と、パターン社の国際部門最高責任者クリス・ヴィンセントは言う。パターン社は、ブランドが世界中のオンラインマーケットプレイスで販売するのを支援する米国企業です。ヴィンセントによると、現在、海外ブランドの中でも関心を最も集めている製品カテゴリーは、ビタミン剤と栄養補助食品で、中国の消費者は品質と信頼性を特に高く評価しているとのことです。

中国の買い手が欧米のブランドに注目する最大の理由は、その品質です。調査回答者の60%がこれを挙げており、次いでユニークな商品や自分のスタイルに合った商品を求めています。

中国人消費者が欧米ブランドを買う理由として、品質、自分のスタイルに合っている、お金を払うだけの価値がある、SNSなどで人気、地元では手に入らない、インフルエンサー、知人、家族の推薦などを挙げている。

今回の調査では、中国の消費者の多くが依然として欧米製品を購入したいと考えていることが示された一方で、越境ECは購入先予定の優先度としてトップではなかったことが示された。また、51%が以前より多くの欧米製品を購入する予定と答えた一方で、67%は一般的なオンラインショッピングを増やす予定と答えた。うち、54%が越境ECでの買い物を増やすと答えている。これは、欧米だけではなく、日本や韓国などのアジア諸国のブランドから購入することも含まれます。

欧米のブランドの中には、中国の新疆ウイグル自治区におけるイスラム教徒の扱いなど、中国の人権に問題を取り上げることもあり、それに対する反発の影響を受けているものもあります。ナイキもアディダスも昨年、新疆ウイグル自治区での強制労働の報道に懸念を表明し、消費者の不買運動によって、中国でのオンライン販売で大きな損失を被りました。

と同時に、新型コロナの大流行は、海外製品のオンラインショッピングに拍車をかけたと思われる。中国政府はこの2年間、中国の消費者が海外に渡航するのを禁止している。アリババの公式ブログ「アリジラ」によると、ウェブで海外商品の買い物をした中国人消費者は、前年の1億4000万人から2021年には1億6000万人に増加したという。

パターン社と市場調査会社ワン・ポールが調査した消費者は、いずれも過去1年間に天猫国際で買い物をした経験がある。天猫国際は、中国のEC大手Aアリババが運営するマーケットプレイスで、海外ブランドの製品を扱っている。パターン社が天猫国際のユーザーを調査したのは、同プラットフォームが中国の越境ECユーザーに最も人気のあるプラットフォームで、アクティブユーザーが1億人いるからだそうです。

他に調査からわかったことは以下です。

・調査回答者が過去1年間に海外から購入した製品カテゴリーとしては、アパレルとアクセサリーがトップで、78%。次いで、パーソナルケア製品(71%)、食品・飲料(アルコールを含む)(69%)、コンピューター、スマートフォン、その他のデジタル製品(64%)となっている。

・85%の回答者が、越境ECのお気に入りのチャネルとして天猫国際を挙げている。アリババのライバルである亰東(JD.com)は53%、アマゾン・チャイナは39%で、中国の消費者に海外製品を販売しているアマゾンと続いた(ただし、この調査は天猫国際で買い物をしたことがある消費者だけを対象にしているため、結果が天猫国際に偏っている)。

・オンラインで購入した外国製品が当日または翌日に到着することを期待すると回答した人は21%だった。46%が「2〜5日後に届くのを期待」と回答。そして33%が「5日以上待ってもいい」と回答。

・中国での越境ECは、女性の方が若干多い。年齢層は25歳から44歳が多い。

・中国のソーシャルメディアのうち、越境購入の意思決定に最も影響を与えるものは何かという質問に対して、61%が「Douyin(国内版TikTok)」と回答しています。57%は小紅書(レッド)と答えています。また、55%がWeChat、50%がメッセージングアプリのWeiboと回答。

参考:Despite tensions, many Chinese online shoppers still covet Western goods

まとめ

この記事を読めば分かる通り、中国人ユーザーが越境ECに積極的だからといって、その購入の向かう先が日本だとは限らないのです。

記事では全体の67%が欧米のブランドではなく、一般の買い物をすることを計画しており、そのうちの54%は日韓などの商品も含んでいるとあります。これは全体でみると、36%が日韓をはじめ、アジア近隣諸国からも買う意思のある人になります。

この36%全員が日本のものを買うとは言っていないのです。お隣の韓国やその他アジア諸国の物も買うのです。日本のものだけに絞ると、どのくらいになるかは記事からはわかりませんが、良くて全体の1割くらいでしょうか。
また、「中国の富裕層へ向けて」という言葉もよく聞きますが、日本では一般人が買うものを越境ECにした途端に富裕層狙いにするというも雑な戦略です(外国では普通の人が日用品として買っているものを日本人だからという理由でボッタクられたら頭にきませんか?それと同じことです)。また、中韓の場合は歴史的感情から、いくら金を持っていても日本のものを優先的には選択しない人もいます。
そこへ持ってきて中国ECへの進出はそう簡単ではありません。したがって、独身の日の情報やインバウンド隆盛期の爆買いのイメージだけで安易に中国と決めるのは戦略策定としてはかなり雑だと言えるでしょう。

今の中国は、かつての日本が通った道を歩んでいます。日本の経済が好調だった頃、舶来物を持つことがステータスシンボルだとばかりにうつつを抜かし、日本の良いものが衰退してきたのを思いおこせばよく分かることです。

Writer 横川 広幸

横川 広幸 取締役 越境ECコンサルタント eBayJAPAN創業時に法人営業、マーケティングに従事。eBayに連携した越境ECサイト “Tokyotrad” で日本の仏具を世界86カ国に販売。自らの越境EC成功体験を越境ECアドバイザーとして日本全国でセミナー講演や個別相談を行う。

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