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越境ECブログ

パンデミックがECを恒久的に活性化させたという証拠

こんにちは。ジェイグラブの横川です。

ECは新型コロナによる行動制限で業績を伸ばしました。しかし、IT後進国でITリテラシーの低い人が多い日本では、この現象を歓迎できず、行動制限が緩和されたあかつきには、リアルがネットに対し、再び凌駕することを待ち望んでいた人も多いでしょう。

ところが、そういう人たちの期待とはうらはらに、実際は恒久的に伸びていくことがデータで示されました。そんな記事を紹介いたします。


パンデミックによりECが恒久的に活性化したことを示すデータ

消費者が実店舗に戻ったことがECが減退している証拠だと主張するアナリストや専門家がいます。具体的には、消費者のオンラインショッピングの割合は、パンデミック以前に予想されていた水準に戻った、つまり、消費者がECで買い物をするようになったのは一瞬のことだったというのです。2022年、ECは2019年並みのビジネスになっている。

間違いなく、ECの利用が最も多かったのは2020年の第2四半期で、ECのシェアは売上の16%を占めました。その後、2022年第1四半期には14%に減少し、2022年第3四半期には15%(季節調整済み)に増加しました。 また、2021年から実店舗型小売店の利用が増加していることも確認されています。

しかし、ECの成長が、パンデミックによる後押しではなく、パンデミック以前の長期的な予測に戻ったというのは、正しくないといえるでしょう。

その理由は以下の通りです。

下の図は、米国の国勢調査のデータ、および2010年から2019年第4四半期(パンデミック開始前の最後の四半期)までのECのシェアデータに基づくEC売上高の予測値と国勢調査が報告したEC売上高を比較したものです。

そこから分かるのは、2020年から2022年にかけて消費者によるECの利用が増加しなかった場合と比べて、現在のECによる売上高のシェアはおよそ1ポイント高くなっていることです。

1%ポイントという数字は些細なものに思えるかもしれませんが、過去4四半期のEC売上高816億ドルに相当し、2020年から2022年にかけてECを利用した購買が増加したことに起因するEC売上高の8%増を意味します。 国勢調査のデータによると、過去4四半期の小売総額は7兆ドルで、このうち1兆ドルがECを利用して販売されたものです。

これらのデータとそこから導かれる結論は、さまざまな統計モデルや推計手法で一貫しています。電子商取引による売上高の実際の割合と、予測データに基づく割合の1%ポイントの差は、季節調整済みデータに基づく推定と季節調整なしのデータに基づく推定で同じになります。

また、単純な線形回帰モデル(OLS)や様々な外部要因に影響されにくい標準誤差を用いた回帰モデルを用いても、同様の結果が得られます。

最も重要なことは、自己回帰和分移動平均モデルのような、ある期間の将来のデータを予測するために特別に設計された、より高度な統計技術を用いても、これらの結果は成り立つということです。

アナリストが実店舗の閉店予測を下方修正しても、実店舗の小売業は2010年以降、毎年大規模な店舗閉鎖(2019年は9,100店など)が行われており、深刻な衰退状態にあることを忘れがちです。消費者は、パンデミック時よりも現在の方が店舗に足を運んでいるかもしれませんが、パンデミックが発生しなかった場合よりも、ECを利用していることに変わりはないのです。

これらのことが意味するのは、現在、ECの利益が(実店舗による利益に)逆転されているという結論は、データの詳細な分析に失敗しており、その代わりに、データと消費者の買い物の仕方に関する常識の両方によって裏付けられていない結論に飛びついているということです。 PYMNTS誌は2022年5月、ECの利益に関する不正確な国勢調査データ報告について最初に記事を掲載しました。このデータが示しているのは、そのとき私たちが言った、パンデミックによって電子商取引の利益が押し上げられるということが、実際に起こったということです。

参考:Data Shows eComm Got Permanent Boost From Pandemic


おわりに

この記事が示しているように、コロナ景気は目立つため、コロナが落ち着けば、元に戻るという結論は誤りで、コロナがなかったとしても着実に伸びていたことがわかり、その傾向は将来にわたっても言えるということが示されました。

日本のように、高齢者が人口の3割を占め、生まれてくる子供が毎年最低を記録し、生産年齢人口も減っていく中では、落ち込んだ分だけでも外貨で穴埋めしないと難しい状況になっているため、やるしかないのです。そんな状況下でこのデータは心強いものがあります。

ちなみに、越境ECを行わなくてもなんとかできる方法もあります。それは、

・国内市場で人一倍ではなく、人十倍、人百倍、人千倍頑張る
・経済力の落ち込みに合わせて生活レベルを国民レベルで下げることに同意し、大増税等を受け入れる
・従業員、従業員や自身の家族、後継者等を露頭に迷わすことなく閉業する

これらができるのであれば、越境ECをわざわざ行う必要はありません。この方向に向かいそうな兆候が見えたら、私は海外移住の準備を真剣にはじめますが^^;

Writer 横川 広幸

横川 広幸 取締役 越境ECコンサルタント eBayJAPAN創業時に法人営業、マーケティングに従事。eBayに連携した越境ECサイト “Tokyotrad” で日本の仏具を世界86カ国に販売。自らの越境EC成功体験を越境ECアドバイザーとして日本全国でセミナー講演や個別相談を行う。

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