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越境ECブログ

越境EC担当者が間違えずに選ぶための最適プラットフォーム分析

こんにちは。ジェイグラブの横川です。

越境ECを始めるには、海外の商習慣に合っている海外のプラットフォームを利用するほうが、運用しやすいと思います。しかし、どれを選べばいいかわからないという方も多いと多いと思います。

そこで、サーチエンジン:ジャーナル誌が、2021年のECプラットフォームについて様々な分析を通して記事にしていますので、見てみたいと思います。

専門用語が出てきますので、注釈を加えましたが、まどろっこしいと思う方は文末のまとめだけみてください。

2021年 上位ECプラットフォーム分析

HTTPArchveは、820万件のウェブサイトを分析し、どのeコマース・プラットフォームが最も優れているかを調査しました。その結果、いくつかの予想外の結果が得られました。

Eコマースサイトの減少と増加

以下の統計は、ブラウザのクローム(Chrome)ユーザーが訪問した820万件のウェブサイト(デスクトップ版、モバイル版とも)に基づくものです。

2020年から2021年にかけて、オンライン上のECサイト数は増加しました。しかし、全サイトに占めるeコマースの割合は、実際には2%近く縮小しているとのことです。

出典:Search Engine Journal

Eコマースプラットフォームが増加

この調査では、検出されたeコマース・プラットフォームの数が前年比で48%増加したことが指摘されています(前年の145プラットフォームに対して215プラットフォーム)。
※ジェイグラブ註:つまり、一からエンジニアなどにプログラムさせて作るよりも、”ありもの”であるプラットフォームを利用して立ち上げる企業がその企業の規模に関係なく増えたということです。

しかし、ワードプレス(WordPress)は他のプラットフォームを圧倒的にリードしており、ウーコマース(WooCommerce)プラグインを通じてモバイルECサイト全体の30%のシェアを占めています。

2位はショッピファイ(Shopify)で14%、3位はオープンソースのプレスタショップ(PrestaShop)で5%のシェアとなっています。

以下のグラフは、ECサイトと非ECサイトの合計のうち、ECサイトの割合を示しています。

出典:Search Engine Journal

ウーコマース/ワードプレスのECサイトは全体の6%近くを占め、ショッピファイは3%近く、プレスタショップは1%弱となっています。

トップ10のEコマース・プラットフォームの40%がオープンソース

調査によると、上位10位のECサイトのうち40%がオープンソースまたはセルフホスティングであることが判明しています。

  • ウーコマース(オープンソースでかつ、セルフホスティング)
  • プレスタショップ(オープンソース)
  • マジェント(Magentoーオープンソースでかつ、セルフホスティング)
  • ショップウェア(Shopwareーオープンソース)

トップ10のEコマース・プラットフォームの60%がSaaS

残りの60%はSaaS(Software as a Service)型のeコマース・プラットフォームである。
※サービス提供者のクラウドサーバーにあるソフトウェアを、インターネット経由してユーザーが利用できるサービスでASP(ネット上でアプリケーションを利用するサービス)とECにおいてはほぼ同義です。

  • ショッピファイ
  • ウィックス・イーコマース(Wix eCommerce)
  • スクエアスペース・コマース
  • ビッグコマース
  • ショップウェア
  • ロージャ・インテグラ―ダ

CrUXランクで測定したトップEコマース・プラットフォーム

今年のクローム・ユーザー・エクスペリエンス・レポート(CrUX)では、Webサイトの人気度ランクが提示されました。

人気ランクとは、ウェブサイトの人気度を測定し、100万位以内、100万位以下、10万位以内、1万位以内に属するとタグ付けされることを意味します。その結果、それぞれのECプラットフォームがどのようなサイトで利用されているのか、興味深い分析が得られました。

トップ5のEコマースプラットフォームのウェブサイト人気度

ウーコマース(WooCommerce)
ワードプレス、ウーコマースは最も人気のあるプラットフォームで、多くのサイトが人気サイト上位100万位以内に入りました。

プレスタショップ(PrestaShop)
※原文記事に一切の記載がない

ショッピファイ(Shopify)
上位100万件のうち、ショッピファイを利用しているサイトは、割合では他のすべてのプラットフォームよりも多くなっています。

マジェント(Magento)
マジェントは、上位1万件のうち、他のプラットフォームよりも多く使われており、大企業レベルのeコマースサイトに人気があるようです。

ウィックス(Wix)
ウィックスは、ローカルの中小企業サイトがeコマースを行う際に選ばれているようです。調査によると、人気上位100万サイトに登場したWixのeコマースサイトはわずか164サイトでした。ウィックスのeコマースユーザーベースでは、ほぼすべてのユーザーが人気ランキングで100万位以下でした。この統計は、ウィックスのユーザーの圧倒的多数が小規模企業であることを示唆しています。

トップ100万サイト向けECプラットフォーム

上位100万サイトにランクインしているサイトでは、ウーコマースが最も人気のあるプラットフォームでした。

ウーコマースはショッピファイに次ぐポジションで2位。3位はマジェントと続いている。プレスタショップは4位をキープし、以降はショップウェア、ビッグコマース、セールスフォース・コマース・クラウドの順です。

上位10万サイト

上位10万サイトではマジェントが人気で、ウーコマースは4位に転落している。これは、マジェントがECプラットフォーム企業レベルのECサイト(※)として人気が高いという印象を強めています。
※ジェイグラブ註:大規模かつ大掛かりな仕組みを作れる資金力のある企業向けという意味に解釈できます。

研究著者はこう分析している。

CrUXランキングの上位10万サイトを見ると、様相は一変します。マジェントは、モバイルサイトの1.21%を占め、最も人気のあるeコマースプラットフォームベンダーとなりました。

ショッピファイは2位(0.88%)を維持し、セールスフォース・コマース・クラウドは3位(0.63%)にランクインしています。

SAP コマース・クラウドは6位に上昇し、この分野でのエンタープライズプラットフォームの競争力が高まっていることを示しています。

Search Engine Journal

人気サイトトップ10,000(トップレベルの企業向けEコマース)

Eコマースプラットフォームのトップは、エンタープライズレベルの最上位で劇的に変化します。

マジェントはまだグループの中にいるが、1位から3位に転落している。

トップランク企業向けEコマースプラットフォーム、ベスト5

  • SAPコマース
  • セールスフォース コマース クラウド
  • マジェント
  • HCLコマース(IBM WebSphereコマース)
  • オラクルコマース

記事の著者はこの結果に驚きません。上位のエンタープライズ向けeコマースプラットフォームは、そうした企業に最適のハイエンド・サービスを提供することで知られていたからです。

たとえば、マジェントは、ハイエンド製品を多数発表しているアドビ(Adobe)が所有しているため、そのレベルに見合う企業をターゲットにしていることは驚くことではありません。

調査員はこのように書いています。

これらのプラットフォームはすべて、大企業に適していると一般的に考えられています。

Eコマーススピード・パフォーマンス・スコア

ライトハウスのページスピードパフォーマンスのスコアは、衝撃的に低いものでした。グーグル(Google)のページスピードのスコアは、1~100のスケールで運用されています。

100点は、高いレベルのページスピードとポジティブなユーザーエクスペリエンスを示しています。0点は、基本的に大惨事を意味します。

ECサイトのページスピードの平均スコアは22点でした。

この調査の著者は、機能を追加しなければならないというプレッシャーが、このレベルの低パフォーマンスにつながると推測しています。
※ジェイグラブ註:自分が楽をしたいがために、あれこれいろいろな機能をつけすぎて、サイト全体のパフォーマンスを下げているという意味です。

出典:Search Engine Journal

2021年のECプラットフォームの状況

総合的な勝者となるプラットフォームはなかった。各ECプラットフォームは、あるレベルのEコマースサービスに特化し、その焦点にほぼ集中していました。

ワードプレスは現在、さまざまなEコマースサイトのリーダーですが、カテゴリ全体で選ばれるプラットフォームであるとはいい切れません。

他のプラットフォームが企業レベルに特化しているのに対し、ウィックスは中小企業に好まれているようです。この調査者は、ウィックスの利用者は圧倒的に小規模企業であると指摘しています。

明確な勝者はいませんが、ページスピードの領域では、eコマース・プラットフォームを含め、すべての企業が劣っているのです。金賞を狙う者は、ページスピードと機能のバランスを取る必要があります。

参照:2021 Analysis of Top Ecommerce Platforms

さいごに

この記事ではっきりと答えが見えたと思います。

トップECサイトの4割がオープンソースで、残りの6割がSaaS。
それぞれ上位にいるのは、ウーコマース(WooCommerce/Wordpress)かショッピファイ(Shopify)となります。しかも、この2つは全体のトップ5にも顔を出していますから、日本から始めやすいプラットフォームとしてはこの2つということになります。

ただし、ウーコマースはセルフホスティング型ですので、自力でサーバーの準備やLinux、Apache、MySQL、PHPの知識が(プロレベルの知識はいりませんが)多少必要になります。
したがって、ワードプレスの経験がないという場合は、ショッピファイ一択と言っていいでしょう。

また、マジェント(Magento)は、資金力のある、大企業向けであることが明確になってきました。
そして、ウィックスは逆に資金力のない小規模事業者が手軽に始める際のツールということがわかります。そういうツールなので、複雑な機能や、自分が楽をしたいためにあれこれいろいろな機能をつけるのは難しいということです。タダでできるというのは、そういうことです。

そして、自分が楽をしたいためにいろいろな機能を付けてしまうことで、サイト全体のスピードを犠牲にしてしまい、結果的に訪問者がイライラして帰ってしまうという悪循環を生んでいることもデータで明らかになりました。

日本の事業者は、「自己満足感は満たせた代わりに売上さっぱり」という、このパターンが非常に多い印象です。なんでも機械任せではなく、人間がしっかり作業しましょう。

Writer 横川 広幸

横川 広幸 取締役 越境ECコンサルタント eBayJAPAN創業時に法人営業、マーケティングに従事。eBayに連携した越境ECサイト “Tokyotrad” で日本の仏具を世界86カ国に販売。自らの越境EC成功体験を越境ECアドバイザーとして日本全国でセミナー講演や個別相談を行う。

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