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大手高級ブランドのeコマース競争が激化

こんにちは。ジェイグラブの横川です。

昨年、欧州の高級ブランドは中国のWeChatで中国売上の6割の売上を上げているという記事を紹介しました(参考:中国「WeChat」に群がる欧州高級ブランド)。海外では中小企業はもちろんのこと、資金力などで体力があると思われる大手企業や老舗企業も、ものすごく早い意思決定力で時代の変化に合わせていっているニュースが飛び込んできます(参考:コロナ禍での逆境を跳ね返した実例を紹介します)。

今回は、LVMHなどの高級ブランドたちの、新型コロナに合わせた、ニューノーマル下での激しい動きを捉えた記事を紹介します。これまでの常識が一気に瓦解した現在、プライドを捨ててマーケットプレイスに出るのか、新たなアライアンスを組んで新しいポータルサイトを作るのかという路線に分かれ、果たして最後に勝つのは誰なのか?という内容のニューヨーク・タイムズの記事です。


高級ブランドのEコマース戦争がヒートアップ
~アマゾン進出か、プラットフォームの新たな提携か。誰が勝つのか?~

2015年、高級品グループ「Richemont(リシュモン)」の会長兼支配株主であるヨハン・ルパートは、モンテカルロで開催された業界の会議の壇上に立ち、最大のライバルたちにエールを送った。

「私は他の大手グループ、高級品業界のために、唯一無二の中立的なプラットフォームを作るように呼びかけました。私はLVMHのアルノー氏とケリングのピノー氏と話していました」
ルパートは、ベルナール・アルノーとフランソワ・アンリ・ピノーという2大ラグジュアリー・コングロマリットのトップに言及した。「私は彼らに、高級品小売の未来はオフラインだけでなく、オンラインにもあること、そして、どの企業も独占しようとするにはあまりにも大きなゲームであることを伝えました。しかし、いつものように、みんな自分たちでやろうとしていました」とため息をつきながら、付け加えた。

それから5年が経ち、新型コロナの大流行は、Eコマースが高級品の未来にとっていかに重要であるかを明らかにした。Spotifyがある音楽業界やBooking.comがあるホテル業界とは異なり、高級ファッション業界には未だに有力なオンラインプレーヤーがいないのが現状だ。

しかし今月、Cartier(カルティエ)を所有するRichemontと中国のAlibabaは、オンラインファッション小売業者のFarfetch(ファーフェッチ)に11億ドルの投資を行うと発表した。Gucci(グッチ)、Saint Laurent(サンローラン)などを所有するKeringを傘下に持つピノーも、Farfetchへの出資額を5,000万ドル増やした。

 

この動きは、ラグジュアリー業界の2つの最大手グループを共通の目的のために団結させ、2つの主要なラグジュアリーEコマース・プラットフォーム間の架け橋となる可能性を秘めている。Richemontが所有するFarfetchとYoox Net-a-Porterのことである。また、現在はAmazon(アマゾン)とAlibabaの両極に揺れるオンライン小売業界の再編の可能性も出てきた。

「パンデミックは成長分野としてオンラインファッションに大きなスポットライトを当てており、今後5年以内には間違いなくカテゴリーリーダーが出現するだろう」と、ファッション検索プラットフォームLystの創設者であるクリス・モートン氏は述べている。

ニューヨーク大学のスコット・ギャロウェイ氏も同意見だ。「高級ブランドのEコマースグループというのは説得力のあるアイデアだが、これまでのところ誰もそれを実現できていない」と言う。それが変わろうとしているのではないだろうか?

アマゾンの襲撃

過去10年間、欧米の高級ブランドEコマースの風景といえば、2007年の「Farfetch」と、2015年のYooxとNet-a-Porterが合併して誕生した卸売業者の最大手「Yoox Net-a-Porter」が主に支配してきた。

高級ブランドは、Eコマースの導入に遅れをとっていた。その際、多くのブランドはFarfetchかYooxのどちらかに依存し、Amazonのような巨人からの誘いを拒否していた。それは、Amazonが「何でも屋」という評判を受けていたこともあり、高級品業界が重視する独占性とは相反するものであったのと、Amazonで第三者が偽造品を販売していたことも一因となっていた。Amazonは偽造品の販売を厳格に禁止しており、不正防止のために多額の投資を行ってきており、現在はValentino(ヴァレンチノ)などのブランドと提携して偽造品販売追放を行っている。

しかし、パンデミックの影響で多くの店舗が閉店を余儀なくされたとき、ブランドはデジタル販売に注力せざるを得なくなり、デジタルユーザーのためのより確立されたプラットフォームに注力しました。経営コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーが先週発表したデータによると、オンラインでの高級品の購入額は、2019年の390億ドルに対し、2020年には580億ドルに伸び、世界の高級品販売市場に占めるこの分野のシェアは12%から23%へとほぼ倍増しています。

この時を利用しようと、Amazonは2つの取り組みに乗り出した。まず、5月から10月にかけて、アメリカとヨーロッパの両方で特別店舗を展開。Vogue(ファッション誌ヴォーグ)と地元のファッション協議会の協力を得て作られたこの店舗は、百貨店が注文をキャンセルしたために販売店を持たなかったインディペンデント・デザイナーの作品を展示していた。次に、Amazonの1億5000万人のプライム会員を対象とした新しいラグジュアリー・ストア・アプリを導入した。

Amazonのラグジュアリー・ストアの最初のパートナーとなったオスカー・デ・ラ・レンタの最高経営責任者は、9月にVogueに「私たちの既存顧客の100%近くがAmazonを利用していて、そのうちのかなりの割合がプライム会員だと思う。私にとっては、新規顧客の獲得に加えて、既存顧客とのマインドシェアを増やすことが重要なのです。顧客が快適な買い物をしている場所ならどこでも話ができるようにしたい」と語った。

Roland Mouret(ローランド・ムーレ)やAltuzarra(アルトゥザラ)など他のブランドも参加しており、Amazonは来年の第1四半期にはさらに多くのブランドが参加すると予想されると述べている。FarfetchやAlibabaのTmallサイト上の招待制のラグジュアリー・プラットフォームであるLuxury Pavilionと同様に、参加ブランドはアプリ上で商品をどのように表示するかをコントロールでき、Amazonインターフェースの欠点に対する懸念を和らげている。Amazonはまた、Vogueの元デジタル・クリエイティブ・ディレクターのサリー・シンガーを新たなファッション部門の責任者として採用することで、ファッションの信頼性を高めた。

しかし、「なぜ高級ブランドがAmazonに出品したのか」と、こうした動きに納得できない顧客の問い合わせも増えていた事も事実であった。しかし、かといって、単独で行くことは、ますます手に負えなくなってきているのも事実である。世界最大の高級ブランドグループであるLVMHは、Amazonとの提携を公に拒否しているが、独自のソリューションである卸売りプラットフォーム「24 Sèvres」は、消費者からの支持を得られず、損失を出し続けている。

新しい提携

2018年に株式を公開したFarfetchは、実店舗向けのeコマース・マーケットプレイスを含むビジネスモデルを持ち、バックエンドのテクノロジーや物流についてブランドと直接連携している。また、Off-White(オフホワイト)やPalm Angels(パームエンジェルズ)などのブランドを製造・販売するNew Guards Groupを6億7500万ドルで買収したおかげで、ブランドを直接所有するに至っている。今月、同社はまた、記録的な四半期を報告した。9月30日に終了する3ヶ月間の商品販売額は7億9,800万ドルに達し、前年同期比62%増となった。売上総利益は82%増で、13年の歴史を持つ同社を2021年の黒字化へと導いた。

Farfetchは、Amazonが高級Eコマースの覇権を争う上での最大のライバルであることを認識しているため、最大の国際的なライバルであるAlibabaと手を組むのは理にかなっていた。

RichemontとAlibabaのFarfetchへの新たな投資は、Alibabaがいかにして高級ブランドがAmazonとの間で抱えている問題を回避してきたかを強調している。そのTmall Luxury Pavilionは、高度に磨き上げられ管理された顧客体験と偽造品の取り締まりを約束することで、約200の高級ブランドを同サイトに誘致することに成功している。

また、海外旅行が制限されたことで、中国の消費者は2025年までに1780億ドルの贅沢品支出を占めるとマッキンゼーは予測しているが、これまでの海外で贅沢品を購入していた形から、今後は国内で購入するようになっていくと予測される。AlibabaとRichemontは、それぞれ3億ドルをFarfetchに、さらに2億5000万ドルをFarfetch Chinaと呼ばれる新しい合弁事業に投入する。AlibabaとRichemontは、中国の事業体の25%を所有し、約3年後にはさらに24%を購入するオプションを持つことになる。

しかし、まだまだハードルはある。Alibabaとの合弁事業は、Farfetchの既存事業を共食いさせる可能性がある。以前、JD.comとの中国でのFarfetchのベンチャー企業は、消費者に勢いを与えることができなかった。さらに、多くの高級ブランドは、世界のどこにいても消費者とつながるデジタル・チャネルを、第三者を介さずに統合し、コントロールしたいと考えている。マッキンゼーは、「勝者が勝者総取りになるかどうかは分からない。Amazonがこのゲームに参入することや、さらなる統合が行われることは間違いありません。」と述べる。

「ラグジュアリー業界は、電子商取引が基本的に西洋ではAmazon、東洋ではAlibabaになりつつあるという事実に苦慮している」と、ニューヨーク大学のギャロウェイ氏は第二次世界大戦に例えて言う「彼らは自分たちだけではドイツと戦えないので、ロシアと同盟を組む必要があるが(この場合はAlibabaです)、これは、ロシア人とイギリス人とアメリカ人が一緒になったようなものです。彼らは競争相手です。しかし、本当の敵はシアトル(Amazon)にいるのです。」

参考:The Luxury E-Commerce Wars Heat Up (New York Times)


あんまりブランドには詳しくないので、記事中に出てくるブランドの半分はなんだか分かりませんでしたが^^;、とにかく水面下で有名企業、大手企業、老舗企業が新しい常識に適応するためにうごめいているということだけは確かです。

過去のブログでも紹介していますが、海外では目的と手段を混同することはあまりないため、一見すると恐ろしい変節、なりふり構わない態度と取れるようなことでも、よく見ると目的は全然ブレていないということが多いです。例えば、Amazonは中国のピンドゥオドゥオ(中国版グルーポン、かつての日本のネットプライス)にアカウントを作るといった発表があったり、東南アジアの高級品専門ECモールである、ReebonzがeBay(イーベイ)にストアを出したりと、派手な戦略を取っています。これは例えて言えば、日本橋を挟んで北側にある某有名百貨店が南側にある某有名百貨店のテナントを借りて店を出す(その逆も然り)というくらいの派手な戦略です。

海外ではこのくらい派手に早い意思決定でなりふり構わない動きを見せています。

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Writer 横川 広幸

横川 広幸 取締役 越境ECコンサルタント eBayJAPAN創業時に法人営業、マーケティングに従事。eBayに連携した越境ECサイト “Tokyotrad” で日本の仏具を世界86カ国に販売。自らの越境EC成功体験を越境ECアドバイザーとして日本全国でセミナー講演や個別相談を行う。

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