ジェイグラブの横川です。
新型コロナでリアルな売上が厳しくなるのが明らかになったことで、ECに舵を切った企業も多いことかと思います。とりわけ日本市場は将来縮小することが分かっているのですから、海外に目を向けようと判断するのは賢明だと思います(越境EC畑に20年もいた者としては、本当はもっと早く目を向けてほしかったと思っていますが)。
しかし、経営は先を見て行うもの。”いま”に翻弄され、”いま”に合わせるだけでは、時代を切り拓く事はできず、時代を切り拓いた企業のコバンザメ状態でおこぼれをもらえたら御の字的な経営になってしまいます。
いま私は何を考えているかをお話しします。
どうやって顧客に自分の魅力を分かってもらうかを常に考えているという話です。
それは、欧州で特に話題になる、地球環境、持続可能性です。
越境ECが盛んになるということは、航空機の離着陸が増え、その分自然環境を悪化させます。EUでは鉄道で片道2.5時間程度で移動できる範囲の飛行機は廃止するという案が出ているといいます。日本なら、東京―大阪間程度で飛行機使うなという話ですね。
実際、CNBCの記事では、コロナ禍でEC利用が盛んになり、物流コストが上昇していると記事になっていますし、ファクトカンパニー誌は「2日以内に商品を届かせるという仕組みは恐ろしいほど環境悪化につながっている」と記事にしています。ほとんどAmazonを狙い撃ちしているように見える記事ですが、実際環境にはよくないようです。
こうした流れで行くと、2日以内に届かせるといったようなスピード重視の物流が地球環境に悪影響を与えるというわけですから、スピード重視派は将来環境悪化を促進させるという誹りを受ける覚悟で買わねばならなくなるかもしれません。そういう点ではスピードを重視されると不利になる日本からの発送は逆に不利ではなくなります。この点は好ポイントです。「私達は自然環境考えた、スピード重視でない方法で配送します」とやや大げさに主張してもいいと思います。
しかし、一方で、極東からの買い物は燃料を多く使い、環境に良くないので、距離に応じて追加料金を課すべきだという議論もくすぶっています。これは我々にとっては不利です。
先日、JALがバイオ燃料で航空機を羽田―福岡間を試験飛行させましたが、この流れは国策として加速させてくれないと厳しいかもしれません。
しかし、売り手としてこうした部分もしっかり考えているとアピールする方法はいくつかあります。
前述した記事では、特定の物流業者だけにするのではなく、複数の業者と付き合い、柔軟に発送パターンを組み合わせるという方法や、寄付、キャッシュバックなどを行うという手もあります。日本の場合、送料設定などを見ても海外視点で見ると、守銭奴的に映る場面が多くあります。今後、海外を相手にするときには、通用しなくなっていくのではないかと考えています。