こんにちは。ジェイグラブの横川です。
新型コロナの感染拡大が世界のECにどういう影響を及ぼしたのか、国連の国連貿易開発会議がレポートを発表しました。本日はその一部をお伝えいたします。
国連報告書:世界の小売売上高の19%をeコマースが占める
国連貿易開発会議(UNCTAD)が5月3日(月)に発表した報告書によると、COVID-19パンデミックの影響を受けて、世界のEコマースは2019年に26.7兆ドルに急増し、2020年には小売売上高全体の16%から19%に増加しました。
この報告書は、5月3日から4日までの2日間、スイスで開催されたUNCTAD主催の電子商取引とデジタル経済の測定に関する会議の中で発表されました。
報告書によると、Eコマース市場全体では、米国が圧倒的に多く、日本と中国がそれに続きます。韓国は、2020年のオンライン小売売上高が2019年の20.8%から25.9%へと最も大きく増加しました(同国のオンライン販売は、2019年にはおよそ5件に1件だった取引が、2020年には4件に1件以上になりました)。EC売上はいくつかの国で増加しており、全世界のEコマースは2019年から4%増加しました。
「これらの統計は、オンライン活動の重要性が高まっていることを示しています。また、COVID-19の流行を受けて経済を立て直すために、特に発展途上国がこうした情報を持つ必要性を指摘しています」と、UNCTADの技術・物流担当ディレクターであるShamika Sirimanne氏は、国連のプレスリリースで述べています。
企業間取引(B2B)と消費者間取引(B2C)を含む世界のEコマースは、2020年の世界の国内総生産(GDP)の30%を占めています。Eコマース企業の上位13社のうち11社は中国と米国の企業です。
英国のオンライン取引は、前年の15.8%から23.3%に増加しました。
中国のEコマース市場は、前年の20.7%から24.9%に増加しました。
米国は、前年の11%から14%に増加しました。また、オーストラリア、シンガポール、カナダでも増加しているとのことです。
eコマース企業はパンデミックの影響を(良い方向に)受けましたが、ライドシェアやトラベル分野のデジタルプラットフォーム企業は流通取引総額(GMV)が急減しました。また、サービス分野の企業もGMVが減少しました。
例を挙げると、Expediaは2019年の5位から昨年は11位に転落。ブッキング・ホールディングスは6位から12位に落ちました。昨年上場したAirbnbは11位から13位に下がりました。
B2C Eコマース企業上位13社の2020年の総GMVは2.9兆ドルで、2019年の17.9%増に対し、昨年は20.5%増でした。スポティファイは95.6%増、ウォルマートは72.4%増だったと報告されています。
世界のB2B eコマース市場は、2019年に21.8兆ドルとなり、テクノロジープラットフォームやEDI(電子データ交換)取引を含めたeコマース全体の82%を占めています。
マスターカードが先月発表したレポートによると、通常は実店舗で消費されるはずだった何千億ドルものお金がeコマースサイトで消費されています。
参考:UN Report: eCommerce Now Makes Up 19 Percent Of Global Retail Sales
ECが成長していくことは、コロナ禍前から既定路線でしたが、コロナ禍によってそれが加速したに過ぎません。ワクチン接種の広がりにより、オンフラインでの経済活動も復活していくでしょうが、ECの成長が鈍化するとは考えにくいというのが、世界の専門家の大勢です。