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越境ECブログ

中東のECは地元優先になるかもしれない

こんにちは。ジェイグラブの横川です。

一般的な日本人の感覚ではアジアというと、インドあたりまでで、中東というと、アジア地域の国というイメージが湧きにくいのではないでしょうか。実際、文化も全く異なっているし、歴史的に深い交流があったこともありません(唐草模様はペルシャの柄であり、少ないながらもこの地域の影響もあるにはあるのですが)。それ故、越境ECの進出先としても中東を筆頭に上げる人はほとんどおらず、いまもって未知のエリアかもしれません(ただ、イスラム教の過激派のニュースの影響を受けて、中東やイスラム教は怖いというイメージをもつのは、見当違いも甚だしく、彼らに失礼です)。

弊社も自社サイトや中東エリアのECモール利用などで、中東についてはかつて検討したことがあり、中東の人とMTGもしたことがありますが、なかなか実績に結びついていません(ただ、イーベイを利用することで中東の人に販売はできています)。しかし、それでも定期的に中東のEC事情も紹介してきました(下記、関連記事参照)。

今回は、そうした中東の最新事情をまとめました。文化的ソフトの発信力でいくと、日本が現在は異様に強いため(日本人が積極的に発信しているわけではなく、日本好きの外国人による情報シェアによって拡大してきており、完全な他力本願(※)ですが)、そういう文化的情報発信力学の不均衡から、中東は自らの地域を守ろうとしているのでは?というような印象も受けました。
※浄土真宗でいう他力本願ではなく、一般社会で使用する「人まかせ」という意味で使っています。


ネット通販利用者の74%が、越境よりローカルECを好む(中東)

サウジアラビアの小売業は、Eコマース市場を背景に大きな成長を目指しており、同国のオンラインショッピング利用者の74%が、グローバルなプラットフォームからローカルなプラットフォームに移行すると予想されています。
グローバル経営コンサルティング企業のカーニーと、サウジアラビアのコンサルティング企業のムカタファは、最近のレポートの中で、中国、湾岸協力会議(※)、ヨーロッパ、米国などの国際的な企業に対して、地元企業とのハイブリッド型が大きく前進していることを指摘しています。
※UAE、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア

サウジアラビアのEコマース市場は193億サウディ・リヤル(51億4000万ドル)で、小売市場全体(3472億SR)の6%に相当します。2026年には、さらに347億SRまで成長し、小売市場全体の7.5%に達すると予想されています。
Eコマースの拡大は、王国のビジョン2030の目標に沿ったイノベーション、雇用創出、民間セクターの成長への道を開くことになります。

カーニーのパートナーであるMohammed Dhedhiは、「このようなECシステムの隆盛は、キャッシュレス取引の増加や、ECの配達範囲を王国の主要都市以外にも拡大するなど、この分野の成長に不可欠な柱となる民間投資を誘導するヴィジョン2030における政府の取り組みと一致して、市民に革新的なデジタル決済手段を提供するものです」と語っている。
また、「ローカルおよびハイブリッドなECプレーヤーの成長は、消費者の利益を保護し、雇用創出の可能性が高いローカルな投資を促進することに貢献するでしょう。」とも述べている。報告書では、越境ECは、地元企業やハイブリッド企業が牽引することで、収入が減少することが予想されることが明らかにされました。

越境ECは、2021年の全電子商取引収入の59%から2026年には49%に減少すると思われます。
報告書は、すべてのEC参加者のための公平な競争環境を作り、消費者の利益を守り、国内投資を促進するために、さらなる支援を提供する必要があると指摘しています。
「地元のEコマース事業者が市場でより多くの支持を集めていることは、良い兆候です。ムカタファのCEOは、「私達は、越境ECのアカウントと同様に、これらのビジネスが繁栄するよう支援されるようにしなければなりません」と述べている。また、「輸入量のしきい値を導入したり、クロスボーダーのプレーヤーに現地の品質基準を義務付けたりすることが考えられます。すべてのECプレイヤーに公平な競争条件を提供するためには、こうした取り組みに取り組む必要があるのです。現状では、市場の規制は越境プレーヤーに有利であり、それが変わるまで、越境ECはローカルプレーヤーと比較してEC市場の大きなシェアを維持し続けてしまうでしょう。」とも語っている。

参考:74% of online shoppers prefer local e-commerce over cross-border platforms


おわりに

中東に関していうと、売るより買うほうが多くなるという予測があって、越境ECを野放しにすると、収支が下がると考えているのでしょう。そうなると、日本企業が本気でやるには、現地法人が必要になってくるかもしれませんし、あるいは、記事がいうハイブリッド(現地企業との合弁)を考えないとならなくなるかもしれません。

Writer 横川 広幸

横川 広幸 取締役 越境ECコンサルタント eBayJAPAN創業時に法人営業、マーケティングに従事。eBayに連携した越境ECサイト “Tokyotrad” で日本の仏具を世界86カ国に販売。自らの越境EC成功体験を越境ECアドバイザーとして日本全国でセミナー講演や個別相談を行う。

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