こんにちは。ジェイグラブの横川です。
長引くコロナ禍、ウクライナ―ロシア戦争などで、物流面の混乱が続いており、すこし暗雲も立ち込めている感じもしなくもない越境ECですが、ワクチンや薬の開発で人流も復活し、国際航空運送協会(IATA)によれば、旅行などが2023年には、2019年比で105%という割合で回復するだろうと予測しています。
そして、越境ECもそうした将来を見越して、オフラインとの融合を見据えた動きがあちこちで始まっています(というより、そこを見据えないでいるのは未来を見る目がなさすぎです)。
しかし、コロナが終息しても、越境ECは高止まりという予測は数年前から不変で、きちんとECにも対処せねばなりません。そこで2023年のEC予測が出ていますので、見てみましょう。
越境ECは2023年までに全売上の38%を占め、マーケットプレイスがけん引役となる
越境ECは、2022年の1.9兆円から顕著に増加し、2023年には2.1兆円を超えると予想されています。この1年間で13%の成長は、国境を越えて商品を提供するマーケットプレイスの成功が拡大していることと、ECモデルとして越境販売の実行可能性が高まっていることを反映しています。
調査レポート「越境EC:新たな機会、将来の課題、市場予測 2022-2026」によると、購入後払いや代引きなどのモデルを含むECモデルの多様化に伴い、越境ECも現地流通や決済のパートナーシップに合意し、ペースを維持しなければならないとしています。
この調査では、越境ECベンダーは、地域に根ざしたECモデルを提供しなければ、より消費者のニーズに応えることのできる選択肢に負けてしまうだろうと推奨しています。
越境ECの成長にはマーケットプレイスモデルが重要
調査の結果、アマゾンなどの大手ベンダーが越境ECベンダーに代わってユーザーに商品を販売するマーケットプレイスモデルが成長には不可欠であることがわかりました。このモデルは、多くのユーザーに簡単にアクセスでき、支払いやその他のロジスティクスの問題をシームレスに処理することができる方法でもあります。
越境ECにおけるマーケットプレイスモデルは、複雑さを取り除き、国境を越えた売り手が地域に根ざしたサービスを提供できることを意味します。そのため、マーケットプレイスは、消費者との直接的な関係に比べれば制約があるものの、既存のユーザーベースにすぐにアクセスすることができる優れた方法だと専門家は話しています。
この調査では、2023年の越境ECの消費額の97%以上が物理的な商品で、残りはデジタル商品で構成されることが分かっています。この差の主な要因として、物理的な商品の越境輸出がビジネスモデルとして成熟していることと、コスト意識の高いエンドユーザーが増えていることを挙げています。
参照:Cross-border ecommerce to account for 38% of all sales by 2023, driven by marketplaces
さいごに
弊社の日頃からの主張を裏付ける記事となっていますが、弊社としては正解を言い続けていたことが確認できて安心しました。つまり、越境ECは自社サイトだけで成功するのは稀、ECマーケットプレイス(ECモール)と組み合わせるのが王道だと。
とは言え、ネット通販始めたら半年で結果が出るなどというのは、20年前のEC業界が常套句として使っていた煽り文句に過ぎず、この時のイメージを未だに引きずった考えを持っている人が多いことが、この国がIT後進国であることを物語っています。海外でもShiny-Object Syndrome(キラキラ目標症候群)と呼ばれ、格好の嘲笑の対象になります。きちんと2~3年の覚悟を決めて進めるべきでしょう。一般にオフラインのビジネスでは5年は我慢してみなさいと言われますから、それに比べれば2年も早く成果が出るかもしれないですし、費用もオフラインに比べれば安くて済む、そのくらいの思考が常識です。