こんにちは。スペイン特派員の渡部です。
前回は、海外での日本のアニメ、マンガ産業の状況と、それらのブランド力がもたらしているスペインのマーケティングの変化をご紹介しました。
今回は、そこから少し掘り下げていきます。
皆さんの今後の海外ECビジネスに、少しでもご参考になれば幸いです。
アニメやマンガのおかげで、日本の文化や商品が見直されている
私は副業で、スペイン人に日本語を教えています。
そこで先日、自称OTAKU、29歳の生徒さん(男性)から、こんな質問を受けました。
「自分でラーメンを作りたい。麺やなると、メンマはどこで買える?」
彼は、アニメ「NARUTO」で主人公がいつも美味しそうにラーメンを食べるシーンに影響され、バルセロナ市内のラーメン店で初めてラーメンを食べました。
その美味しさに衝撃を受け、社会人になってから今までに2、3度日本を旅行したそうですが、その時は必ずいくつかのラーメン屋さんを開拓するほど、大のラーメン好きだそうです。
他にも、例えば友人の息子さん(中学生)には、「ポカリスエットってどんな味?」と聞かれます。
アニメ「ハイキュー!!」を見て、キャラクターたちがゴクゴク飲んでいるポカリスエットが美味しそうに見えてたまらないのだとか。
また、ジブリ映画「火垂るの墓」に登場するサクマドロップ。
今までに何人かの友人から、映画と同じように缶入りのものを、日本のお土産としてリクエストされたことがあります。
アニメで夏祭りのシーンを見て、甚平や浴衣、浴衣姿の女の子が持っている巾着袋が、カッコイイ、カワイイ、素敵だと目を輝かせる人もいますし、女性キャラクターが真夏の日差しの中、日傘をさして歩いているシーンを見て、「あんな素敵なパラソル、スペインでは売っていないわ。」と嘆く人もいます。
このような話を聞くと、アニメやマンガのストーリーやキャラクターだけでなく、シーンに登場するふとした日本の商品や小物も注目されていることがわかります。
アニメやマンガから、日本の食べ物や文化、言葉などに興味を持ち、「日本のあの食べ物を食べてみたい!作ってみたい!」、「日本語を勉強したい!」、「日本に行ってみたい!」「日本のあの商品が欲しい!」と、これらを実践するためにお財布の紐を緩めているのが、20代からの社会人層です。
でも、日本の商品を欲しているのは、スペイン人やEU国籍者だけではありません。
私たち日本人在住者もまた、喉から手が出るほど、日本の商品を求めています!
求められる日本の食材
今回はその中でも食品に焦点を当てていきたいと思います。個人的に、私の周りでは、日本の話題となるとやはり食品に関する話が圧倒的に多いのです。例えば、スペインでもやはり寿司は有名です。
スペイン調理済み食品製造業者協会 (ASEFAPRE) のデータによると、過去3年間でスペインの家庭における寿司の存在感は48%増加し、2020年には2715トン、2021年には13.5% 増の3134 トンの調理済み寿司が消費されたと報告されています。
たしかに、我が家の近所のローカルスーパーでさえ、今では出来合いの寿司が売られていますし、寿司を作るための海苔やわさび、醤油もあります。
ただ、我々日本人在住者やMade in JAPANにこだわるOTAKUからしてみると、それらの商品がアジアの他国やヨーロッパの原産であることが多いのが、少しがっかりすることでもあります。
さらに、日本食は寿司だけではありません。
ラーメンや煮物、お味噌汁、カレーライス、今の時期なら素麺や冷やし中華だって食べたいし作りたい…。
日本人在住者の中には、こちらの食材を駆使して味噌や納豆、豆腐などを手作りする素晴らしい努力家もいますが、私のような面倒くさがり屋は、できることなら簡単に手に入れたいと思ってしまいます。
そこで重宝されているのが、中国系、日本系のアジア食材店、そしてオンラインショップです。
※引用:スペイン調理済み食品製造業者協会 (ASEFAPRE)
記事:EL CONSUMO DE SUSHI REFRIGERADO EN EL HOGAR SUPERÓ LAS 2.700 TONELADAS EN 2020(家庭での冷蔵寿司の消費量が2020年に2,700トンを突破)
記事:EL CONSUMO DE SUSHI REFRIGERADO EN EL HOGAR CRECIÓ UN 13,5% EN 2021(2021年の家庭での冷蔵寿司の消費量は13.5%に成長)
さいごに
次回は、これらアジア食材店やオンラインショップで、実際に私たちがどのような物を購入しているのか、お話ししたいと思います。このシリーズは4回シリーズですので、毎週金曜日に報告いたします。次回もお楽しみに!
※撮影:渡部幸子 撮影場所:バレンシア市内