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越境ECブログ

日本企業の大好物、低リスクのEC事業計画とは

こんにちは。ジェイグラブの横川です。

今月中旬から、マスクを「つける・外す」は個人の判断に委ねられます(満員電車とか、一部の環境以外は)。とは言え、極端なゼロリスク思考の多い日本人を考えると、つけっぱなしの人が多いのではないかと思います。それは、東洋経済オンラインの「日本人「マスク外す日」、永遠に来そうにない6理由」という記事が予言しています。

さて、越境ECで言えば、

・自社商品は海外に送れるのだろうか
・送った商品が外国の税関で止まったらどうしよう
・日本と価格を変えても大丈夫なのだろうか(クレームが来ないだろうか)
・返品依頼が来たときはやはり理不尽だと思っても受け入れるしかないのだろう

などなど、不安を感じたらすべてが完璧に解消されないと前へ進むことをやめて、決断を下すのに1週間~1ヶ月かけるという感じになる日本企業もあります。これを海外視点で見ると、単なる臆病者にしか見えません(ファーストガンダムのセイラがカイに「この、軟弱者!」とビンタをかましたような気分に駆られます)。

一方で、海外企業は、万が一の対策なども数時間で決めて、リスクを理解した上でどんどん先に進みます。この差は消費者に認知させる時間の差となり、いくらいいものを持っていても海外企業に勝てなくなります。

1週間かけて出した結論と、数時間で決めた結論と、大してさがないことが多く、それだけ効率性も悪いということになります。私が何度も何度も言っている「知識を溜め込むより意識を変える」が成功の近道であるという確信は変わっていません。

営業ならば、耳障りの良いことだけを言って、皆さんにお金を支払わせることだけ考えますが、コンサルタントとしてはいい話ばかりはしません。厳しい話も致します。

しかし、今回は日本企業に合う、ロー・リスク越境EC戦略について考えた記事がありましたので、紹介します。


そのまえに

米インサイダー・インテリジェンスによると、小売業の返品は過去 3 年間に急増し、e コマース売上高の空前の伸びをはるかに上回っているというデータが出ています。経済の先行きが不透明な中、小売業者は収益性を追求するため、顧客を失うことなく返品にかかるコストを管理しなければなりませんと記事はまとめています。

2023年、低リスクのEC事業計画はこうなる

内的・外的要因によって利益が予想を下回ったり、事業の存続が危ぶまれたりする可能性を「ビジネスリスク」と呼びます。避けるに越したことはありませんが、どんな事業にも何らかのリスクはつきものです。需要の変化、経済情勢の変化、世界的な出来事など、あらゆるビジネスにおいて不確実性がつきまといます。

電子商取引に内在するリスク

電子商取引(EC)は、一般的にリスクの高い事業と考えられています。ECの多くは、1〜2人のスタッフで運営される中小規模のビジネスでもあります。

さらに、ECのサプライチェーンは複雑で相互依存性が高いため、リスクはさらに高まります。グローバルな事象は、サプライチェーンに劇的な影響を与え、遅延、混乱、欠品を引き起こす可能性があります。消費者行動、需要、経済環境の変化も、ECに関連する不確実性に一役買っています。

低リスクのECビジネスの特徴

このような乱気流が内在しているにもかかわらず、EC販売者は成功する低リスクのビジネスを構築することができます。ナシーム・ニコラス・タレブが著書『Antifragile: Things That Gain from Disorder』で指摘しているように、ストレスや変動に直面したときに、よりレジリエンス(強靭性)を高めることができるものがあるのです。強固なECは、日々さらされる不確実性によって成長・向上し、安定的で堅牢なシステムへと変化していきます。

このような低リスクのECビジネスに共通する特徴を詳しく見ていくことで、多くのことを学ぶことができます。

在庫、マーケティング、日々の経費に資本を投下しない

ECでは、在庫、マーケティング費用、その他の日常的な経費のために、多額の資本が必要です。これは、サプライチェーンの費用を支払ってから売上による収入を得るまでに時間がかかるため、オンライン販売業者にとって特に厄介な課題となっています。

そのため、多くのEC起業家は、日々の支出に資本を投じるという間違いを犯しています。これは一時的にうまくいくかもしれませんが、リスクを大きく高めてしまいます。もし、すべての資本が在庫やビジネスの他の側面に縛られていると、何か問題が発生したときに頼るべきものがありません。また、ビジネスの将来に投資する資金もないため、成長や拡大にも限界が出てきます。

その代わり、低リスクのECでは、資金調達パートナーなど他の資金源を見つけ、サプライチェーンのコストや日々の経費を支払います。そうすれば、ビジネス上の目標を達成するだけでなく、万が一の事態にも対応できるキャッシュフローを確保することができます。

キャッシュフローを最適化する

キャッシュフローを適切に管理しないビジネスは、災いの元となります。キャッシュフローを最適化し、計画を立てなければ、サプライチェーンの遅延や混乱、在庫の後退、需要の変動は、ビジネスの財務を破壊するのに十分です。実際、キャッシュフローの不足は、中小企業の倒産要因の上位に挙げられています。

したがって、リスクを低減し、長期的な成功を収めようとするECでは、キャッシュフローの詳細を認識し、理解し、管理する必要があります。これには、サプライチェーンにかかる費用の蓄積や季節性など、ビジネスの将来的なニーズを予測し、それに備えるための先々の見通しが含まれます。

可能な限りコストを削減し、売上分析と予測に注意を払い、資金調達がキャッシュフローに見合ったものであることを確認することが、優れたキャッシュフロー管理策です。

利益率を監視し、優先順位をつける

ECの販売者がよく抱く誤解のひとつに、収益を上げることが成功の鍵であるというものがあります。そのため、できるだけ多くの商品を売ろうと、マーケティング・キャンペーンに過剰な費用をかけたり、商品の価格を下げすぎたり、大幅な値引きを行ったりすることがあります。

しかし、低リスクのビジネスは、そのようなことはしません。売上高だけに注目するのではなく、利益率に特に注意を払います。

利益率を長期的に維持または増加させることが、ローリスク・ビジネスの重要な特徴です。これは、サプライヤーと値下げ交渉を行い、大幅な値引きを避け、必要に応じて値上げを行うことで実現できます。ROAS、TACOS、AOVなどの主要なマーケティング指標を常に把握することで、販売者は広告戦略が成果を上げているのか、それとも利益率に悪影響を及ぼしているのかを理解することができます。

在庫管理を効率的に行う

在庫管理は、ECを運営する上で最も重要な要素の一つです。在庫が少なすぎると、在庫切れになる恐れがあります。また、在庫が多すぎると、貴重な資金が倉庫に保管され、キャッシュフローに悪影響を及ぼします。したがって、効果的な在庫管理戦略は、低リスクのビジネスプランの鍵となります。

事前に製造能力を確保することで、必要なときに在庫を確保することができます。同時に、必要以上の在庫は避けなければなりません。また、在庫の大口注文と小口注文のバランスを取ることも賢明です。大ロットでは未入荷による損失が大きく、小ロットではリスクは少ないがコストがかかり、利益率が下がります。このようなトレードオフをうまく処理できることが、成功するビジネスの条件となります。

アウトソーシングや柔軟な3PLなどのサードパーティサービスプロバイダーとの提携は、限られたスタッフでビジネスのこの側面を管理するのに苦労しているビジネスオーナーの助けになります。

責任ある成長目標を設定する

ECが成長を目指すことは素晴らしいことですが、責任を持って行うことが重要です。市場が許容する以上のスピードや成長を目指すと、リスクが高まり、ビジネスの失敗につながる可能性があります。

低リスクのビジネスでは、成長目標を設定する際に、市場の現実を考慮します。これには、製品の季節性、競争、需要の変化などが含まれます。したがって、成長目標の設定には、データの収集と分析、市場や競合の調査、自己資本と資金調達のバランスを慎重に検討することが必要です。

また、需要以上の量を売ろうとせず、最初は少量生産で新製品をテストしましょう。また、経営資源の過剰な活用を避けるため、現実的なビジネスの成長スピードについて賢明な判断をする必要があります。

資金繰りに関する柔軟なパートナーを見つける

資金繰りに柔軟性のある資金調達先を見つけることは、企業がリスクを下げるための簡単な方法です。これによって、日々のビジネス運営に必要な資金を確保し、将来的には資本を投下することが可能になります。

キャッシュフローに配慮した資金調達とは、必要なときに必要なだけ資金を借り、できるだけ早く返済することです。必要以上にお金を借りたり、早く借りすぎて遅く返したりすると、資本コストが高くなり、リスクも高まります。

EC起業家の中には、第三者からの資金提供を受けることに慎重な人もいるかもしれませんが、成長だけでなく、成功を持続させるために不可欠な要素であることも多いのです。とはいえ、時間をかけて、ビジネス固有のニーズに合ったパートナーを見つけることが大切です。EC業界の発展により、現在ではECブランドに特化した資金調達の選択肢がいくつかあります。

参考:Here’s what a Low-Risk Ecommerce Business Plan Looks Like in 2023
   US Retail Ecommerce Returns 2023


おわりに

ECはそもそも実店舗を構えるよりはローコストでできます。
そして、徐々に成長し、その成長に合わせて機能増強を図るという柔軟な発送ができます。
実店舗なら、店のインテリアを間違えたとか、壁に穴が空いたなどがあれば、修復や交換に膨大な時間と費用がかかりますが、ECではデザインの変更などがこれに相当すると思いますが、ソースコードをちょっといじればあっという間ですし、低コストで終わります。

そのため、将来必要になるかもしれない機能やシステムも開店するときに揃えておく必要などなく、成長してきてから導入しても十分間に合います。あれこれモリモリでいろんな機能を構築時に導入し、結局使っていないとか、1年もしないで撤退という会社も昔からたくさん見てきています。

「柔軟」これがキーワードです。

Writer 横川 広幸

横川 広幸 取締役 越境ECコンサルタント eBayJAPAN創業時に法人営業、マーケティングに従事。eBayに連携した越境ECサイト “Tokyotrad” で日本の仏具を世界86カ国に販売。自らの越境EC成功体験を越境ECアドバイザーとして日本全国でセミナー講演や個別相談を行う。

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