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越境ECブログ

インドネシアの2024年ラマダン商戦の見通し

こんにちは。ジェイグラブの横川です。

今月の10日にイスラム教ではラマダンを迎えました。ラマダン期間中は太陽が昇っている間は、特別な事情がない限りは飲食をしない事になっています(日本人の多くがイスラム教は厳格で、柔軟性に欠けると思っているかもしれませんが、実際はコーランには「こうしなさい。難しければそうしなさい」といった書き方がされており、どんな状況に置かれている人でも全員一律に同じことを求めるような過酷なものではありません)。また、日が暮れたあとは飲食はできます。多くの人はモスクでイフタール(夕食)を多くの人と一緒に食べます。私はムスリムではありませんが、この経験はしたことがあります。

ラマダンはイスラム教の暦によって決まるので、毎年11日ずつずれていきます。そしてラマダンが空けると、イードというお祭りが行われ、これは大盛りあがりします。

さて、イスラム教の解説はこの程度にして、このラマダンとeコマースにはどんな関係があるのでしょうか。実際のところ、ラマダン期間中のECは盛り上がります。それについては昨年も記事にしています(参考:ラマダンはECを加速させる)。

今回は、日本から近くて多くのムスリムがいるインドネシアに焦点を当てた記事を紹介します。


インドネシアの2024年ラマダン商戦の見通し: 主な購入カテゴリーと小売チャネル

インドネシアのラマダン(断食月)期間中、様々な小売カテゴリーにおける個人消費の見通しはどうであろうか?また、ラマダン期間中の消費者は、どのEコマース・チャネルを利用する予定なのだろうか。それについての調査があるので見てみよう。

2024年のラマダン・ショッピング: 消費者は今年、様々な商品に対して、昨年よりと比べてどのくらい買い物をするのか

YouGov Surveysの最新調査によると、2024年のラマダンを実施するインドネシアのムスリム消費者は、様々なカテゴリーの商品への支出が例年と同じかそれ以上になると予想する人がほとんどで、以前よりも支出を減らそうと考えている人はほとんどいない。

しかし、10人に6人近くが今年のラマダン期間中、寄付(57%)に多くの支出を見込んでおり、ほぼ半数が飲食物(48%)に多くの支出を見込んでいる。

インドネシアのムスリムがラマダン中に消費、あるいは寄付すると答えたカテゴリーで、緑は例年より多く、赤は例年より少なく、青は例年通りの量で消費すると答えている

これとは対照的に、イスラム教徒の消費者がラマダン期間中に家電製品や電子製品に支出を増やす可能性は最も低く、この2つの小売カテゴリーでは今年の支出を減らすと予想する消費者の割合も最も高い。

オンラインとオフライン: ラマダン期間中、消費者はどのように買い物をする予定なのか?

ムスリム消費者の大多数は、今年のラマダン期間中に、少なくとも一部のモバイルデータ/インターネットプラン(86%)、ファッション・アパレル(78%)、パーソナルケア・化粧品(70%)をオンラインチャネルで購入する意向である。

また、10人に6人弱が2024年のラマダン期間中に、少なくとも一部の寄付(59%)、少なくとも一部の家電製品(53%)、食品・飲料(53%)の購入にオンラインチャネルを利用する意向である。

ラマダン期間中に購入する各カテゴリーで、紫はオンラインで、赤はオフラインで購入する意向があると答えている。

一方、半数近くの消費者が、ラマダン期間中に医薬品やビタミン剤をオフライン・チャネルで購入する意向を示している(48%)。

ラマダン期間中、消費者の間で最も人気のあるオンライン・ショッピング・チャンネルは?

ムスリム消費者のほぼ10人に9人(89%)が、今年のラマダン期間中にShopeeで買い物をする意向を示しており、Tokopedia(51%)、TikTok Shop(41%)、Lazada(34%)を大きく引き離し、最も人気のあるオンラインショッピングチャネルとなっている。

インドネシアのムスリムがラマダン中に利用するECモールはShopeeが突出している

男女を問わず、ラマダン期間でShopeeが最も人気のあるオンラインショッピングチャンネルだが、男性(85%)よりも女性(92%)に人気がある。ちなみに女性の間でShopeeの次に人気のあるラマダンオンラインショッピング・チャンネルはTikTok Shop(女性49%対男性33%)となっている。

対照的に、Tokopediaは男性の間でShopeeの次に人気のあるラマダン向けオンラインショッピングチャンネルであり、圧倒的に人気が高い(男性では59%対女性では42%)。

ラマダン2024年 世代を超えた祝祭ショッピングにおけるeコマース・プラットフォームの人気

世代を超えて、Shopeeが2024年のラマダン・ショッピングで最も人気のあるeコマース・プラットフォームであることは間違いない。しかし、ミレニアル世代とX世代ではTikTok Shopに次いでTokopediaが人気だが、Z世代ではその逆である。

参考:Indonesia’s 2024 Ramadan shopping outlook: Key purchase categories and retail channels


おわりに

国境や文化を越えて広がっている宗教を世界宗教と言いますが、キリスト教や仏教は人口が減っています。一方イスラム教徒の人口は増えており、そのうち世界の4人に1人はムスリムになると言われています。したがって、そこを市場として見ないのは残念です。

なお、この記事の内容は、かなりインドネシアの事情を正確に伝えていると考えられます。と言いますのも、弊社では昨年、アユさんというインドネシアからのインターンを受け入れていたのですが、彼女が調査してくれたデータとそっくり同じだったからです。Shopeeは女性人気、トコペディアは男性人気など。

アユさんとは関係ありませんが、この記事で、Tik tokが人気だという部分は注意が必要です。下記の関連記事にもありますが、インドネシア政府はTik tokに対しては締め付けを強めているからです(大統領が変わったら事情が変わるかもしれませんが)。

なお、イスラム教と聞くと中東や北アフリカと考えるのは自然ですが、それ以上視野が広がらないのが日本人の残念なところです。実際には、ヨーロッパへ移民した人、イスラム教へ改宗した人などもおり、欧米でもイスラム教徒は増えています(実際、北米のムスリム向け専門店などもあります)。インターネットは境界線と時間を曖昧にするツールです。中東などが難しれば、北米のムスリムをターゲットにするということだってできるはずです。国境線は補助線です。国境線の枠内で考えるクセを消しましょう。

Writer 横川 広幸

横川 広幸 取締役 越境ECコンサルタント eBayJAPAN創業時に法人営業、マーケティングに従事。eBayに連携した越境ECサイト “Tokyotrad” で日本の仏具を世界86カ国に販売。自らの越境EC成功体験を越境ECアドバイザーとして日本全国でセミナー講演や個別相談を行う。

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