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越境ECブログ

中国、越境ECを促進する試験区を拡大

こんにちは。ジェイグラブの横川です。

世界で急成長した越境EC。この数年はコロナの影響があったわけですが、最近発表されたデータによると、コロナとは関係なく、恒久的に越境ECは伸長しているという結果が示されています。

日本の場合は、若年層と高齢者の人口比率の逆転で市場自体が縮小することは確実です。そのため、活路を外国に求めないとならないのは自明の理です。

似たようなことはお隣の中国でもいえます。中国はいまはまだ緩やかですが、高齢化が始まると、そのスピードは日本以上だと予想されています。そのせいか、中国は越境ECに関して経済特区的なエリアを設け、国を挙げて取り組んでいます。中国からの荷物が信じられないくらい安い送料で発送できるのは、越境EC経済特区に在庫し、そこから発送する荷物の送料は国がある程度補填するといったような事があり、安く発送できていると聞いたことがあります。

では、日本はどうか。それは後半に記すとして、今回、中国は越境ECに関する特区を拡大したというニュースがありました。うかうかしてると、日本企業はあっという間に中国企業に巻かれ、世界で活躍できる場がなくなっていくかもしれません。


中国、越境ECを促進する試験区を拡大

中国は、対外貿易の成長を促進するための最新の取り組みとして、さらに33の都市と地域に越境ECのための包括的なパイロットゾーン(実証実験の試験をする場所)を設立することを承認しました。

今回の越境EC総合試験区の多くは、中国の中部と西部、および国境地帯に位置しています。これで全国で165カ所となりました。

これらの試験区は、伝統的な産業の転換と高度化を促進し、対外貿易の最適化と高度化に貢献することが期待されています。

中国の越境ECは近年急成長しています。その貿易額は過去5年間で10倍近くに膨れ上がり、2021年には1兆9200億元(約2691億4000万ドル)に達しています。2022年上半期には、貿易額で前年同期比28.6%の伸びを記録しています。

参考:China expands pilot zones for promoting cross-border e-commerce

まとめ

短い記事ですが、中国が国を挙げて越境ECに力を入れていることがおわかりいただけたかと思います。

さて、日本はどうでしょうか。
日本だって、国が力を入れています。それは越境ECを対象とした補助金という形で予算を組んで推進しようと言う形でです。

しかし、残念なのは、その補助金をきちんと理解できていないケースがあるのです。先日、同業他社の越境ECのプロフェッショナルたちと食事をする機会がありましたが、皆、異口同音に「補助金使って成功している企業があまりない」と言っていました。

これには、心当たりがあります(これ以降に書く金額はすべて(仮)の金額です)。
まず、越境ECを行うのに100万円かかるとします。それを国が1/2補助するとします。そうすると、多くの企業は、
「100万円かかるところを国が50万円負担してくれるのだから、50万円用意できればいいんだ。」
と解釈してしまうのです。補助金をクーポン券と勘違いしてしまう企業は成功しません。100万円を用意せず、50万円をなんとか工面して終わってしまうからです。

越境ECは作るまでより、作ってからが本番で、作ったあともお金がかかります。なので、本来は、100万円かかるなら100万円は用意しないとなりません。作ったあとの費用も考えるなら150万円は見ておく必要があるでしょう。

それは私達の行為を振り返ればわかります。外国産の珍しいものがあっても、買おうという人は一握りどころかひとつまみ。メディアが取り上げるなど、なんらかのプロモーションがなければブームにならないのはおわかりでしょう。

積極的に欲しい物なら海外からネットで買っていますか?
自分がしないのに、海外の人には日本のモノを購入せよと言い、しかも”何もしないで”それを期待するというのはムシの良すぎる話です。なので、始めてから1年で成功というのは、よほど海外のニーズがあるものをバカバカ売っていない限りは考えられないのです(前述の懇親会では「(成功までは)3年はみないとね」が一致した見解でした)。

以下は仮の話ですが、構築後のプロモーションなども含めたら150万円、うち構築にかかるのが100万円、その100万円のうち、50万円を国が補助してくれたら、その分が浮くので、浮いた50万円は構築後(プロモーションなど)に利用できるのです。つまり、150万円かかるところが100万円で済んだと見るべきなのです。後のことを考えず、目先の費用が浮かせられたというところで思考が止まっていては成功はないのです。

「構築費が浮かせられる」ではなく、「浮いたお金を構築後に活かせられる」と考えないとダメなのです。補助金は元をたどれば税金です。税金の無駄遣いの一翼を担うことは避けたいところですし、国が力を入れていても、それを利用する企業がその意図を理解できなければ、残念な結果しか生まれないのです。

Writer 横川 広幸

横川 広幸 取締役 越境ECコンサルタント eBayJAPAN創業時に法人営業、マーケティングに従事。eBayに連携した越境ECサイト “Tokyotrad” で日本の仏具を世界86カ国に販売。自らの越境EC成功体験を越境ECアドバイザーとして日本全国でセミナー講演や個別相談を行う。

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