こんにちは。ジェイグラブの横川です。
日本は新しい技術の普及に完全に遅れを取ってしまい、完全なIT後進国ですが、昔から日本がこうだったわけではありません。
明治維新の頃の日本は、積極的に欧米の技術や文化を取り入れ、短期間で列強入りしました。当時の欧米人が「私達が200年かけて成長してきたものを、日本はたった3年で実現させている」と、やや誇張した表現で日記に書いています。
ITに関しては、中国や東南アジアがかつての日本の姿です。黒電話、Fax、ポケベル、ワープロ通信、インターネット(電話回線、ISDN、ADSL、光回線)PHS、フィーチャーフォン、スマートフォンと順番に進化の過程を知る日本は、黒電話で満足してしまい、いまもそのままの人がいたり、Faxも現役だったり(流石にこれは同じ先進国の欧米からも驚かれます)と、リテラシー的に成長を止めた人も多くいます。
一方、中国や東南アジアはいきなり、ブロードバンドやスマートフォンが津波のように押し寄せたので、多くの人がそれに親しみ、技術的にも最新のものを知る人が多くいます。
そのため、これからの未来を見据える能力にも自ずと差がついてきつつあります。
中国から学ぶiCommerceの4つのレッスン
小売りのピークシーズンに向けて、急成長する中国のeコマース市場から何を学ぶべきか、中国の専門家に話を聞きました。
中国のeコマース市場は、2021年には推定13.8兆元(3.3兆米ドル)に達し、世界最大のeコマース市場となっています。2022年、成長率は再び記録を更新すると予想され、中国のオンライン小売大手からはテクノロジーとイノベーションの波が押し寄せています。ここでは、市場を支配するeコマースのトレンドと、小売りのピークシーズンを前に世界のマーケットプレイスが中国から学ぶべきことを考察しています。
成長を牽引するのはインフラ環境(ハードウエア)。アプリ(ソフトウエア)をしのぐ
「中国のeコマース大手の最も驚くべき強みは、バックエンドのインフラの規模です」と専門家は言います。国内最強のスーパーアプリを通じてECのUX(ユーザーエクスペリス)が市場で進化を続ける一方で、真の成長を牽引しているのは物流と技術インフラの革新です。
最も成功している企業は、サーバー技術の研究開発に投資しており、顧客にインテリジェントな商品を推奨するために独自のAIチップ技術を開発するまでに至っています。洗練されたデータベースとサーバー技術は、これらの企業が小売のピーク時に膨大な量のデジタルトラフィックを管理できることも意味します。昨年の独身の日にアリババのC2C電子商取引プラットフォームタオバオで24時間以内に買い物をした人は、約5億600万人と推定されます。「これらのサーバーのパワーと規模は、世界のどこにも真似できないものです」と指摘します。
中国のeコマースを支えているもうひとつの大きな要因、それは過小評価されがちな配送ロジスティクスです。この点で、中国の大手eコマース企業は大きな革新を遂げています。オンラインで注文した商品を迅速かつ安価に消費者に届けることは、成功や顧客満足に不可欠ですが、同時にハイテクを駆使したソリューションが求められるようになりました。例えば、中国最大のオンライン小売企業の一つであるJDは、すでに自動搬送車を使って企業の倉庫で高度な3D棚入れ作業を行っており、また中国の巨大な郵便・配送システムを処理するための複雑なアルゴリズムも使用しています。
次にやって来るメタバースに備える
ハードウェアにおけるイノベーションの必要性は、ソフトウェアにおける次の波であるメタバースに注目した場合にも表れてきます。ライブストリーミングとソーシャルショッピングは、中国におけるeコマースの主要なドライバーであり続け、このトレンドは今後数年間成長し続け、メタバース環境へと進化していくと思われます。
「メタバースには、中国のブランドや小売業者にとって未開拓の機会が非常に多くありますが、実際にメタバースに参入するためのハードウェアが入手できるかどうかは、そこに革新が見られるまでは大量導入の障壁となり続けるでしょう」と述べています。最先端のバーチャル体験に加え、ヘッドセットを中国で迅速に設計・供給できる企業や小売業者は、この E コマースの次の波から利益を得ることができるでしょう。
インターネットの普及が成長の焦点に
中国の小規模都市や地方都市の若者は、オンライン小売に遅れをとっていたかもしれませんが、中国では重要な成長層となっています。「eコマースの導入が遅れていた人たちが、今では追いつきつつあることがわかります」と言います。
都市部の新興消費者に加え、中国の農村部でも、eコマースが定着しつつあります。例えば、現在、機械から農薬に至るまで、農産物がブームになっています。
中国の労働人口の約35%は農業に従事しており、その多くは農村部に住んでいます。しかし現在、注目すべきインフルエンサーが農業ライブショッピングを始め、すでにかなりの収益をあげている。農業をはじめ、これまでeコマースとは無縁だった分野が、次の成長分野として注目されているそうです。
しかし、厳しいPIPL(個人情報保護法、中国のGDPR)は、ブランドのメディア戦略の範囲に制限を加え、eコマースのエコシステムでこれらの成長オーディエンスを見つけ、話しかけることを難しくなってきている。
サステナビリティは後回しにしない
中国のeコマースは歴史的に持続可能性とは無縁かもしれませんが、eコマース大手は近年、持続可能な生活の支援とネットゼロ目標の達成に向けた協調的な取り組みを公表しています。アリババの主要プロジェクトである、中国の広大な森林を再生するために2016年に設立された「アリの森」は、国連から「地球の擁護者」賞を授与されるなど、高く評価されています。
こうしたビジネスの公約と並行して、中国政府は2030年までに二酸化炭素の排出量をピークアウトさせることを約束しています。「消費者、ブランド、Eコマースの小売業者は、こうした国内外の取り組みにどのような影響を与えるかを考え始めるはずです。例えば、観葉植物の販売はEコマースのプラットフォームで急成長していますが、これは都市部の中流階級が家庭で自然とのつながりを深めたいという願望を反映しているかもしれません」。
参考:Four lessons in ecommerce from China
まとめ
こういう、成長や進化の差を目の当たりにするにつけ、IT関連に携わっていた人たちは、自戒も込めて、あの時第二の明治維新が来ているという自覚が足りなかったのが反省点だなぁと思います。
第二の明治維新という自覚を持てば、何でもかんでも横文字をカタカナにして、ルー大柴語にし、一部の人だけが理解できる状況にするのではなく、ーー明治の人たちがそうしたようにーー理解しやすい漢字の熟語を作るなどして社会全体が理解し、成長できたはずなので、これほどITリテラシーの低い人が多い状況にはならなかったのではないかと思ったりします。
以前、日本語があまり得意ではない中国の人が会社に来た時、彼は何かを伝えようとするのですが、日本語がわからない。そこで、英語ではなんというのか?と助け舟を出したのですが、英単語もド忘れしたというのです(笑)。これは詰んだと思ったのですが、モノは試しとメモ帳を渡して漢字ではどう書くのか尋ねました。
彼は「流量」と書きました。
これで、理解できました。あ!トラフィックのことを聞いているんだと。
このように、中国は漢訳できるIT用語は漢訳していますし、東南アジアは英語が比較的通じるので、英語のまま普及できました。このどちらにも当てはまらない日本は、かなり昔から躓いていたように思います。
その意味で、だいぶアジア諸国と水を開けられていますが、しっかり来るべき未来を見ないといけません。