こんにちは。ジェイグラブの横川です。
世界における中国ECの市場規模は52%と巨大ですが、成長率はと言うと、世界の中でも際立って鈍化傾向にあります。さらにゼロコロナ政策が追い打ちをかけており、中国政府もIT企業への厳しい締付けを見直さざるをえない状況になってきました。そこで、今後の中国ECの行方を占うのが、6月18日のイベントです。中国ではダブル・イレブン(11月11日、独身の日)の他に、JD.comの創業日である、6月18日も大盛り上がりします。
アリババとJD.comを中心とする中国のeコマース大手が、中元618ショッピングフェスティバルに向けてプロモーションを開始
アリババとJD.comを筆頭に、中国の大手eコマース企業は、毎年恒例の618ショッピングフェスティバルに向けたプロモーションをすでに開始しており、中国経済が低迷する中、オンラインの売り手を支援するための大幅割引やさまざまな施策を提供している。
2004年に北京のJD.comが6月18日の創業記念日を祝うために始めたこの中元節は、その後、アリババが2009年に小売の祭典に変えた独身の日に次いで、国内で2番目に大きなショッピングの祭典になった。
JD.comとPinduoduoは5月23日に618のプリセールプログラムを開始し、アリババは5月26日にプリセールキャンペーンを開始。プリセール期間は、消費者が618セールの開始に先立って、eコマースプラットフォームで購入したい商品について、低価格を保証するデポジットを行うことができる。
今年の618商戦は、全国の個人消費を測るバロメーターとなることが期待されている。というのも、全国的に長引く新型コロナのロックダウンは、多くの人々を失業させ、企業を閉鎖させ、需要と供給の両方を抑制して、生活と消費に大きな打撃を与えているからだ。
アリババの会長兼CEOであるダニエル・チャン・ヨンは、同社の最新四半期決算説明会で、「不確実性の中でサプライチェーンと物流の安定性を確保することは、消費マインドを改善し、事業運営により前向きな環境を醸成する最善の方法である」と述べた。
アリババのスマートロジスティクス部門であるCainiao Networkは、100万平方メートルの倉庫スペースと、さらに500万平方メートルの周辺保管施設を専用に用意し、加盟店をサポートすると発表した。政府がゼロコロナ政策を厳格に実施した結果、出荷の遅延が発生し、全国の物流業務に支障をきたした。
杭州に本社を置くアリババは、618の注文に対して加盟店向けの即時支払振込を開始し、10日から15日という通常の売掛金サイクルを大幅に短縮した。これにより、加盟店はショッピング・フェスティバルの期間中、より良い流動性とより柔軟な対応を実現することができるようになります。
中国政府は、インターネット・プラット フォーム事業者が苦境にある中小企業を支援し、中国経済の安定化に貢献することを期待しており、アリババのこの支援プログラムは、そのような時期に行われる。
同社のTmallでは、300元の商品を購入するごとに、50元(7.50米ドル)の割引が適用される。大量のプリセール注文をした消費者には、さらに割引券が配布される。
一方、JD.comは、今年から割引ルールを簡素化し、200元の購入で即50元の割引を提供すると発表した。JD.comによると、シャオミ、ファーウェイのプリセールスは、5月23日から29日の期間にそれぞれ1億元を突破したとのことである。
5月初め、中国は1年半に及ぶ大手ハイテク企業への取り締まりを終了することを明らかにした。中国共産党中央委員会直属の日刊紙「経済日報」の一面社説によると、2020年後半に始まった中国のテクノロジー大手に対する異常な規制の期間は終わり、市場原理と法治主義の監督に道を譲り、国内のインターネットプラットフォームの成長に良好な環境を整えることになるという。
おわりに
中国だからできる強硬なコロナ封じ込め政策の結果、中国経済はいますごく低迷しています。それを再浮上させるきっかけにしようとしているようですね。復活してくれるといいのですが。
とはいえ、個人的にはロシアのウクライナ侵攻以降の中国人によるロシア応援購入などの実態もある中、今後の国際関係を考えると、経済安全保障という視点で見ると、中国一辺倒はリスクが大きいように感じています。